News 2003年3月18日 11:07 AM 更新

ソニーが今、DVDデュアルレコーダを投入する理由(1/3)

Blu-rayディスクレコーダを発表したばかりのソニー。だが、その一方で、DVD+RWとDVD-RWの双方に対応したデュアルDVDレコーダも間もなく発表する。彼らはDVDレコーダにどのような戦略を持っているのか。また、なぜデュアルなのだろうか。ソニーに話を聞いた

 PC用のドライブとしては国内でも販売が始まっているDVD-RWとDVD+RWの両方に対応したデュアルドライブ。ソニーは先ごろ、民生用でもデュアルRWレコーダを投入することを明らかにした。米国では、「RDR-GX7」というDVD-R/RW/+RWの3種類のディスクに記録を行えるDVDレコーダがすでに発表されているが、国内でも、これと同等の製品が投入される見通し。

 民生用DVDレコーダとして、国内初となるデュアルRWレコーダを販売するソニーに、話を聞いた。


写真は米国で販売されている「RDR-GX7」

持ち味はコンパチビリティ

 「DVD-RW/+RWの持ち味はコンパチビリティ。つまり、記録したものをいろんなところでシェアできること。あるいは、いろんな人に渡して再生できることです。これを“ディストリビューションディスク”と(われわれは)呼んでいるのですが、要するにいろんなところにばらまいて、再生できる点が大きなポイントです」。

 ソニー ブロードバンドソリューションネットワークカンパニー ホームビデオカンパニーの村井良二氏(商品企画部 統括部長)は、複数ある記録型DVDの物理規格(フォーマット)の中で、DVD-RWやDVD+RWなどのいわゆる「RWディスク」の最大のメリットを、こう話す。

 確かにDVD-RWやDVD+RWというフォーマットは、PC用のストレージというより、オーサリング用ディスクという位置付けで考えた方がふさわしいだろう。その意味では、村井氏が言うように、DVD-RW/+RWの再生互換性の高さは大きなメリット。いわば“何度も書き換えできるライトワンス(追記型)ディスク”として使用できる点が、魅力というわけだ。


ソニー ブロードバンドソリューションネットワークカンパニー ホームビデオカンパニー 商品企画部 統括部長 村井良二氏

 しかし、その一方、DVD-RWとDVD+RWは、あまりにも良く似たフォーマットだ。使用方法が似ているだけでなく、約1000回の書き換えのサポート、記録後の物理特性、PC用のデータを記録するときに適したランダムアクセスライト用の記録方式の実装など、サポートされている機能や記録後の物理的な特性まで良く似ている。道筋こそ違うが、目指したものはほとんど同じ――というのがDVD-RWとDVD+RWの関係だ。

 このため、自由度が高いPCでは、出始めの頃こそ、DVD-RWとDVD+RWで多少の違いが見られたが、ライティングソフトやオーサリングソフトが、両者の機能をフルサポートしたことで、現在では全く同じように使用できるようになってしまった。PC用製品としては、これはある意味で正常な進化とも言える。

 だが、これが、民生用製品ということになると、話がちょっと変わる。

 というのも、民生用の製品では、ユーザーの混乱を避けるために「同じように使用できるものを複数搭載しない」方針を持つメーカーが多いからだ。DVD-RAM/R/RWのすべてに対応したDVD Multiのレコーダが存在していない理由の1つが、まさにこの点にある。

 にもかかわらず、同社はDVD-RWとDVD+RWという、よく似た2つの機能を実装した製品を発売するという。それはなぜだろうか。

 村井氏は、その理由は大きく分けて、3つあるという。

[北川達也, ITmedia]

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