News:アンカーデスク 2003年3月31日 07:38 PM 更新

っぽいかもしれない
家にあったらうれしいモノたち〜「My Sweet Home展」(1/2)

4月14日までスパイラルガーデンで「My Sweet Home」という展覧会が催されている。「家」をテーマにしたアーティストと技術者のコラボレーションが出品されているのだが、これが予想以上によかった

 4月14日まで、東京青山のスパイラルガーデンで「My Sweet Home」と題された展覧会が開かれている。案内状をいただいたので、軽い気持ちで出かけたのだけど、これがとても面白い。思わず仕事モードになって取材しだしてしまった。

 「My Sweet Home」は「家」をテーマにした展覧会だ。「現代の『家』とは何かを考えながら、未来におけるライフスタイルのあり方を提案していく」(SPIRAL PAPERより)というもの。また、実はもうひとつテーマがあって、「コラボレーション」。出品されている作品は、アーティストと、技術者(あるいは企業)との共作という形になっているのだ。

 やっぱりいちばんお気に入りのものから紹介しよう。清水寛子×ユースエンジニアリングによる「flickers」。


 小さなおうちの窓に映った影。ほわっとした光に照らされて、すりガラスに映った影絵。これが動くの。とってもよく動く。

映像はこちら(288Kバイト)

 どうやって動かしているのだ。どういう仕掛けになっているんだっていうんで、みんな集まって首をひねっていた。

 ネタをばらしちゃうとつまらないような気もするけど、でもそれで感動が減るわけでもないから言っちゃう。液晶なんですって。バックライトなしのパネルだけの液晶。これを光源とすりガラスの間に置いている。

 後は普通にCGアニメを動かせば、液晶に表示されたものの「影」がすりガラスに映るというわけ(小さなプロジェクタみたいなものだ)。

 液晶そのものはごく普通の(カーナビ用だそうだ)ものなので、うっかりするとピクセルが見えてしまう。それではまったく興醒めなので、液晶とすりガラスの間にシートの層をいれて光を拡散させるなどの処理を行っている。見た感じでは、映る影のピントの芯も微妙にずれたところになっていたけど、これも処理の1つかもしれない。

 もうひとつの効果はライトだ。これがユースエンジニアリングの商品で、「キャンドルライト」というもの。電球なのだけど、不規則に明るさがゆらいで、ろうそくの光のような感じになる。これもいい味を出しているのだ。

 デジタル技術を使っておきながら、徹底的にアナログ感覚を演出するっていうところがすごい。これこの作品もすごいけど、表示デバイスとしても面白いんじゃないかな。まいりました(*1)。


 同じ「キャンドルライト」を使って、さとうりさが作ったのが、この「Live Light」。心臓の位置にある光がキャンドルみたいに揺れるっていうもの。こっちはそのまんまなんだけど、かわいい。


 これもさとうりさの「サトゴシガン」。こういうの好きなの。上のテレビでVTRが流れているんだけど、食卓の脇にこいつがなんとなくいる風景が、いろいろ映る。気にしてたり気にしてなかったり、気にしてないふりをしているけど気になってたり、いろいろ。


 森脇裕之×福留奈美による「TEA FOR ANGEL」。天井(っていうより天上のイメージなのかな)から光があたっているテーブル。なのだけど、影になったところが緑色に光る。上にものを置けばその下が光るし、手で影を作ればそこが光る。透明なグラスくらいでは光らないのだけど、そこに赤いジュースを注ぐとほわっと光りだす。これはちょっと気持ちいい。


*1 たまたま、一緒に見ていた人が「藤城清治のところで影絵を勉強した」という方だったのだけど、おっしゃるには「やられた。」だそうです。でも、気持ちのいい「やられた。」で、創作意欲を刺激させるものだって。

[こばやしゆたか, ITmedia]

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