News 2003年4月8日 11:59 PM 更新

ネットで機能が進化するDVD+R/RWレコーダも――Philips、リファレンスデザインに新機能

Royal Philips Electronicsが、MPEG CODECチップ「pnx7100」と多機能メディアプロセッサを統合したDVD+R/RWビデオレコーダ向けの新システムソリューションを発表。低価格モデルからハイエンド機までさまざまな製品を短期間で市場に投入できるほか、ネットで機能が進化するDVD+R/RWレコーダも可能という

 蘭Royal Philips Electronicsは4月8日、高性能DVD+R/+RWレコーダの開発期間を短縮できる同社リファレンスデザイン「Nexperia」に、ネットワーク接続/Multi CODEC処理/タイムシフトなどハイエンド機能を追加した新しいシステムソリューションを発表。同日、マスコミ向けに同社のDVD+R/+RWレコーダ向け半導体ソリューションの説明を行った。

 「Nexperia」は、民生用AV機器メーカーにDVD+R/+RW対応のビデオレコーダを開発するための“青写真”となるリファレンス・デザインを提供するシステムソリューション。「高性能なDVD+R/+RWレコーダの開発に必要な技術やハード/ソフトウェアをセットで提供することで、製品をスピーディかつ低コストに市場に投入できる」(同社)。

 同社は昨年10月、MPEG2オーディオビデオグラフィックエンジンCODEC「pnx7100」をベースにしたリファレンスデザインと、音声/画像処理プロセッサ「pnx1500」を発表している。

 今回の新システムソリューションは、低価格なビデオレコーダを可能にするpnx7100と、多機能なメディアプロセッサ(pnx1500、pnx1300など)を統合したもの。このような開発自由度の高い統合環境を用意することで、民生用AV機器メーカーは低価格モデルから高性能なハイエンド機まで1つのプラットフォームで開発でき、しかも短期間で市場に投入できるというわけだ。


MPEGCODECチップ「pnx7100」と多機能メディアプロセッサを統合したDVD+R/RWレコーダ向けの新システムソリューション

 「pnx7100は、MPEG-2エンコーダ/デコーダ/トランスコーダといったビデオレコーダに必要な機能をワンチップ化している。また、pnx1500/pnx1300といったメディアプロセッサは、MPEG-4、H.263/264、DivX4/5/6など多彩なメディア形式に対してソフトウェア処理を行っている。最低限必要な不変の機能はハード化し、今後さまざまなフォーマットが登場するなど変化が激しい部分はソフトウェア処理することで柔軟に対応できる」(同社)。


ブロードバンドネットワークで入ってきたMPEG-4形式のストリームデータを、タイムシフトして追っかけ再生するデモンストレーションも行われた。放送系コンテンツに対してタイムシフト機能自体はpnx7100で可能だが、メディアプロセッサを使うことでブロードバンドで配信される通信系コンテンツにも対応できる

 さらに同社ではコードネーム“CASSANDRA”と呼ばれる開発中のコンテンツ管理技術についても触れた。

 CASSANDRAは、デバイス内で自動的にコンテンツ分析を行ってメタデータを生成する新技術。オーディオの場合は音声/会話/音楽を識別できたり、映像の場合は動画内容から人間が映っているかだけでなく特定の人の顔までも識別できるという。


開発中のコンテンツ管理技術では、映像から特定の人の顔までも識別できる

 「例えば、DVDビデオレコーダで音楽番組を録画する場合に、司会や会話部分を自動的に抽出して削除することで音楽シーンだけのライブラリが作れたり、同じジャンルのコンテンツを検索するのにも役立つ。放送系だけでなく通信系からもコンテンツがどんどん入ってくる時代になってくると、ビデオレコーダにも大量のデジタルデータにスマートにアクセスするシステムが必要になる。コンテンツのメタデータを自動的に作ってくれるこの機能は、現在のpnx7100ベースのシステムで実現可能。近い将来には搭載される」(同社)。

ネットで機能が進化するDVD+R/RWレコーダも

 プログラマブルに設計されているpnx1500/pnx1300は、ユーザーのニーズに合わせて、ソフトウェアのアップグレードやカスタマイズが行え、新しい規格に柔軟に対応することができる。

 「BSチューナーのように放送電波でアップデートするようなシステムはあったが、通信ネットワークを使って新機能をダウンロードできるシステムはこれまでなかった。今回のソリューションを使えば、あたかも新しいICをネットワーク経由で放り込むようなことが可能になる。新ソリューションを使って、ネットで機能が進化するシステムを備えたDVD+R/RWレコーダを考えているメーカーが数社ある」(同社)。

 民生用DVDビデオレコーダでは、DVDフォーラムが推進するDVD-R/RW/RAM規格が優勢といわれており、特に日本ではその傾向が顕著だった。だが、同社の新ソリューションによって、DVD+RWアライアンスが推進するDVD+R/RW規格で、機能満載の魅力的なDVDビデオレコーダが年内にも登場しそうだ。

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[西坂真人, ITmedia]

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