News 2003年4月10日 03:31 AM 更新

Intel最高技術責任者、Pat Gelsinger氏との質疑応答(1/2)

IDF JAPAN 2003で来日中のIntel CTO、Pat Gelsinger氏が9日夜、プレスとの共同インタビューに出席。同社技術に関わる広範なテーマについて、質疑応答を行った

 「インテル デベロッパ・フォーラム JAPAN Spring 2003」に合わせ来日中の米Intel上席副社長兼最高技術責任者のPatrick Gelsinger氏が、9日夜、記者の共同インタビューに答えた。

 数年前まではデスクトッププロダクトを担当していた同氏だが、現在はインテルの将来に関わる数多くの先端技術開発を指揮する立場になっている。共同インタビューは広範な分野に及んだ。

 なお、Gelsinger氏は質疑応答の前に、インテルの置かれている現状と、今回のIDFについて、次のように話した。

 「先日発表したCentrinoは、世界中で好評を博している。われわれは技術の融合と、そこから派生する新しいエコシステムの構築を紹介しているが、Centrinoはまさに融合を具現化したものだ」。

 「今回のIDFでは、Manitobaについてより詳しいセッションを開けるはずだ。また、年末に投入予定の90ナノメートルプロセスを採用した次世代Pentium MのDothan、次世代Pentium 4のPrescottについても情報のアップデートを行えるだろう。さらに、Itenium 2に関しても製品情報のアップデートをアナウンスする」。

 では、質疑応答の様子をお届けしよう。


インテル上席副社長兼最高技術責任者のPatrick Gelsinger氏

異なるアーキテクチャが異なるカテゴリでトップ製品として並び立つのは、インテルプロセッサの歴史の中ではじめてです。今後も用途によるすみ分けは続くのでしょうか?

 モバイルプロセッサのTDP(熱設計電力)は30ワット以下にしなければなりません。これに対し、デスクトップPC用のプロセッサは100ワットに達しようとしています。両者の差は確実に広がってきていましたから、今後も異なる方向で進化する必要があるでしょう」

モバイル系のフォームファクタへの移行が進んでいった時、デスクトップPCの役割はどのように変化していくのでしょう?

 ワールドワイドで見ると、モバイルPCのシェアは20%にしか過ぎません。日本では市場環境の違いからモバイルPCが50%のシェアを持っていますが、世界的に見ると、まだまだデスクトップPCのニーズは高いのです。しかし、これらの割合は徐々に高まっていくでしょう。

 家庭でのデスクトップPCは、サーバとしての機能が求められるようになると思います。例えば、メディアコンテンツを家庭内のワイヤレスネットワークを通じて配信するなどの役割があります。10日からのIDFでは、そうした新しいデスクトップPCの機能を組み込んだコンセプトプラットフォームを提示します。

 また、ビジネス向けのデスクトップPCにおいても、コラボレイティブな機能を持つ端末として進化の可能性があることを、明日(10日)見せます。このように、まだまだ伸びる可能性があるデスクトップ市場への投資は、今後も続けていきます。

インテルは米国で行われたIDFで、アレイプロセッサを使ったソフトウェアソリューションで構築する無線システムを展示していました。将来、実用化する際はアレイプロセッサではなく、x86でも同様のアプリケーションを提供できるのでしょうか?

 無線技術のプロトコルは、現在ほとんどの場合、DSPを用いて実現しています。しかし、われわれはDSP技術はそろそろ限界が近付いてきていると考えています。アレイプロセッサへの移行が必要です。

 プログラマブルなアレイプロセッサで動作するソフトウェアで、さまざまな無線プロトコルをサポートできるでしょう。それにより、さまざまな市場変化に対して柔軟に対応できるようになります。

 例えば、802.11はa/b/gがすでに存在しますし、さらに802.11nにも将来は対応するでしょう。屋外ではGPRSや3G、PANならばBluetoothやUltraWideBandへの対応が必要になってきます。

 これらが統合されると、1台のPCで10種類の無線技術を入れなければならなくなります。すべてに対応するとコストも高く、開発も難しくなる。これに対してソフトウェアで多種のアーキテクチャに対応させる“アジャイルラジオ”という技術で対応します。

[本田雅一, ITmedia]

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