News:アンカーデスク | 2003年5月13日 12:56 PM 更新 |
ドメインが落ちてきた
有効期限ドメイン名に私が関心を持ったのは、いつものように面白そうなドメイン名を探していたときに、有効期限期限が過ぎているにもかかわらず取得できないドメイン名を発見したからである。
期限が切れているのに、登録できないのだから、そのままあきらめるのはちょっと悔しい…。取得へのチャレンジはこうして始まった(プロジェクトX風)。
問題のドメイン名は、例によってgTLD(com、netなどのような汎用で使えるトップレベルドメイン)であったので、いつも登録に利用している米国のレジストラにダメ元で「なんとか取れないものか」というようなメールを送ってみた。
するとすぐに返事は返ってきたが、その内容は「そのドメインを登録したレジストラが更新されることを期待して保持しているのではないか? (その場合)こちらではどうにもならない」というつれないもの。
とはいえ、レジストラがそのような思惑でドメイン名を削除しないことがあるとは初耳であった。
なるほど、そういうこともあるのか。と思ってさらにいろいろ調べてみると、どうやらgTLDドメインについては、有効期限が切れてからも、ある程度の猶予期間が与えられているらしい。この期間内に元の持ち主が気が付く、あるいは気が変わるなどの理由で費用を支払えばドメイン名は更新されてしまう。猶予の期限は最大で45日とのことだった。
それでは有効期限の45日後まで待って勝負をかけてみようと考え、念のためもう一度、Whoisで調べてみると、なんとこの45日も大幅に過ぎているではないか。これは一体どういうことだろう?
不思議に思いつつも、今度はそのドメイン名を保持しているレジストラにメールで問い合わせてみた。具体的なドメインを名指しにすると気が付かれてしまう恐れがあるので「御社のドメイン名で期限切れのものがありますが、そのドメイン名は解放されないのですか?」という少々曖昧な文章にした。
すると、すぐに返事が来た。いわく「データベースの更新サイクルがあるので、そのときに更新されると思う」とのこと。いつまでに、とは書いていないので、毎日調べてみるしかないようである。ともかく一晩待ってみた。
さて、翌日起きてすぐにパソコンを起動しWhoisで確認してみる……なんと「No match(存在しない)」である!
たかがドメイン名ごときでそんなに興奮するか、と自分でも呆れたが、例えて言うならば、ブラックバスがヒットした瞬間のような感じだ。“Domain on!”などと訳が分からないことを口走りつつも、早速そのドメイン名を登録してしまったことは言うまでもない。
このケースは、担当者がドメイン名のデータベース更新を怠けていたのが原因ではないかと推測されるが、真相は無論、闇の中である。
公平化を目指して統一ルールを策定中
私のケースのように、有効期限が切れてもだらだらとデータベースに残っているケースも稀ではないようで、ICANNでは2002年後半から、更新や移転に関する統一ルールの策定に乗り出した。
ICANNの「Notice of Initiation of Policy-Development Process: Deletion of gTLD Registrations(gTLD登録の削除に関するポリシー策定プロセスの開始通知)」という文書によれば、
(1)com/netのレジストリに対しては、レジストリオペレータがドメインの終了日にドメイン名の自動更新をかける
(2)有効期限の後、45日の猶予期間がある。この期間においてレジストラはドメイン名を削除し、更新料を預かり金とすることができる
(3)ほとんどのレジストラは45日が終了する前にドメイン名を削除する。あるいはそうしないレジストラもある。
(4)しばしばドメイン名は不確定な期間、さまざまな理由によってレジストリ内に保持される。ときには数カ月もの間、ドメインがマーケットに放出されないこともある
というような問題があるとのこと。
[河野寿, ITmedia]
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