News:アンカーデスク | 2003年5月13日 12:56 PM 更新 |
これでは公平性が保てない恐れがあるため、手順を透明化する必要があると判断したようである。
この後のICANNの報告書などを見ると、この問題については現在も討議中のようであるが、あらたにRGP(Redemption Grace Period=受戻猶予期間)というものが2003年1月25日より実施されたとのことである。
RGPは、登録者やレジストラの間違えによって更新がなされなかった場合、ドメイン名の回復の措置が行える期間のことで、有効期限切れとは少々性格が異なるのだが、RGPと今までの猶予期間の関係がいまひとつつかめない。
2003年2月の「GNSO Council Deletes Task Force Initial Report(GNSO評議会削除タスクフォースの第一次報告書)」によれば、猶予期間の中に30日RGPも含まれる(つまり最大で45日は変わらず)ような感じではあるのだが、後述するSnapNames社のページにあるドメイン登録と削除の輪廻図では、少々違うニュアンスである。この図を信じる限り、最大で45日+30日+5日=80日ほど待たないといけなくなるのかもしれない。
2月の報告書はまだ第一次なので、今後どのようにまとまるか不明な部分もあるが、どのレジストラでも同じように有効期限や更新手続きができるような方向を目指していることは間違いないようだ。
なお、ドメイン名の有効期限が近づくと、レジストラは登録者にメールを送って更新を促すのだが、メールアドレスが生きていなかったり、読まないメールアドレスであったりする場合もあろう。
このような伝達の不備で期限切れになった場合でも、上記のRGP期間が適用されるはずなので、企業の期限切れドメインを取っても問題はないはずだ。
しかし、有名企業の虎の子ドメイン名が期限切れで奪われてしまった場合、ドメインが使えなくなってから、あわてて紛争処理に持ち込まれることも考えられる。このような騒ぎに巻き込まれるのは面倒だから、期限切れとはいえ企業が使っていたようなドメイン名を取るのは避けた方がよいかも知れない。
期限切れドメイン名を狙うサービスもある
さて、私の例では運も味方して首尾よく希望する期限切れドメイン名を取得できたが、当然のことながらこれに目を付ける業者もいる。
大手ではVeriSign系のSnapNamesがかなり古くからこのトンビが油揚げをさらうサービスをNetworkSolutions(これもVeriSign系の会社)のドメイン取得サービスにリンクさせて提供している。つまり、こういうことだ。
ユーザーは希望するドメインをNetworkSolutions社で探すが、多くの場合、希望するドメインはすでに登録されている。ここで、普通のレジストラなら「取得済み」と通告するか、せいぜい他の代替ドメインを表示するだけだ。
しかし、NetworkSolutions社の場合、「Backorder Now」というリンクが表示される。ユーザーがこれをクリックすると、SnapNames社のページへ飛び、希望するドメイン名をバックオーダーとして登録できるようになっているのだ。
SnapBackというこのサービスに申し込んでおけば、1年間を通じて24時間ドメイン名を監視し、空いたところですかさず取得してくれるという。期限切れのみならず、普通に使われているドメイン名をも対象にした“猛禽類のようなサービス”だが、私のように空いているかどうかを毎日チェックする必要もないのは確かに便利である。
しかし、これはもちろん無料のサービスではない。最初の1年目で69ドル、2年目以降は39ドルずつかかることになっている。この料金には最初の1年分のドメイン登録費用が含まれているものの、取れない場合のことを考えるとちょっと躊躇してしまう。
期限切れドメイン関係でもう一つ面白いサイトとしては、その名もズバリ「Deleted Domains.com」というサイトもある。
こちらは、期限切れや削除されたドメイン名のリストを無料で提供している。このリストに載ったものを見て素早く作業すれば、登録できるドメイン名も多い(しかし人気のありそうなドメイン名はすぐに取られてしまうので、ここでも早い者勝ちの世界である)。
3文字や4文字の短いドメイン名ですら放出されているので驚かされるが、どんなドメインかと表示してみると、案の定、英字と数字を組み合わせた「…どうにも使えない」ドメイン名がほとんどである。おそらく、ITブームに浮かされて取ってしまったのはいいが、使い道に困っているうちに期限が来てしまったドメイン名たちなのであろう。
このほかに、期限切れドメイン名をサーチできる機能や、登録されたドメイン名と期限切れ/削除ドメイン名の統計ページなどもあってなかなか楽しい。統計データを見ると、思った以上に削除されたドメイン名が多いのにびっくりさせられるが、主な単語は出尽くしてしまっている今となっては、新たにcomやnetを取得するよりも、要らないドメインを捨てていく人の方が多そうだから、妥当な数値と考えることもできる。
こうして人知れず消えていくドメイン名たちの歴史に思いをはせつつ、期限の切れたドメイン名を狙ってみるのもオツなものだ。あなたも1つ取ってみてはいかがだろうか。
河野寿氏は放浪系ライター。10数年前、ふらりと立ち寄った台湾の電脳市場でインスピレーションを受け、以後ライターとしての執筆活動を開始するも、あまりに寡作なので、その執筆活動はあまり知られていない。
関連記事[河野寿, ITmedia]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.