News 2003年5月20日 02:33 PM 更新

ロボカップジャパンオープン2003観戦記
ヒューマノイド、ついに人間と戦う?(3/5)


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 参加者が持ち回りで時計係をやったり、実況をやったりなど、なごやかな雰囲気で競技が進められた。

 まだちゃんと歩けないBarukii2以外が試技を行った。結果はなんと最小のSilf-H2が実タイム42秒40、ペナルティファクターをいれた評価時間が50秒88となって優勝。ポールの太さは一定なので、大きいロボットのほうが有利だろうかと思ったのだけど、そうでもなかったようだ。

 (初出時には、 Silf-H2 とFirstepとが同タイムだったように記載したのですが、これは誤りでした。上記のように訂正します。)


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 最終成績は、ペナルティファクターが小さい分、Silf-H2が有利となって、優勝。

ペナルティキック(PK)予選

 最終目的がサッカーである以上、やっぱりこれがヒューマノイドリーグの目玉だろう。相手のある戦いだから、見ていても面白い。

 それぞれのロボットが、ひとりはシューター、他方はキーパーになって、5本のPKを行う。人間の場合は1本ごとに敵味方が後退するのだけど、ここではセッティングが大変だから、5本ずつまとめてキックする。

 最初、ロボットはボールから60センチ離れたところにいるので、まず、ボールのところまで歩いていって、自分とボールとの位置を会わせなくてはいけない。これが意外に大変。足元に置いてあるボールなら思いっきり蹴ることができるけど、位置合わせしなきゃいけないと、なかなか力一杯蹴ることができないのだ。

 ボールがペナルティエリアに入るまでは、シューターは何度ボールに触ってもいい。ボールをドリブルでラインギリギリまで運んでからシュートするのでも構わない。非力なロボットの場合、こうやって距離を縮めることが重要だったりする。

 予選はリーグ戦(総当たりではなく、各チーム2試合ずつしかしなかった)で、上位2チームが決勝戦を行う。

 また、これはクラス別の競技なので、120センチクラスのFirstepは今回相手がいない。どうするのかと思ったら、なかなかすごいことをしてくれた。それは、またあとで。

Senchans vs Silf-H2

 Senchansが先攻。Senchansは自律型だから、自分でオレンジ色のボールを見つけて、蹴飛ばすのだ。

 しかし、なかなか届かない。後からわかったのだけど、このゴールの前にわずかな段差があって、そこでボールが止まってしまいがちなのだ(*4)。


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 だが、3本目、キーパーに当てながらも見事にゴール隅にシュートが決まった(ムービー、ボールを追いかけていなくて、すみません)。


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 結局、入ったのはこれだけ。Senchansが1ポイント。

 次に攻守を入れ換えてSilf-H2の攻撃。って、こうやってみるとSilf-H2はほんとに小さい。ボールの上端は腰の高さになるのだ。人間が大玉転がしの玉を蹴飛ばすようなもんである。どうなるんだろう。

 やっぱり届かない。かなり強い蹴りを入れるようにみえるのだけど、みな、ゴール前で止まってしまう。ラインギリギリまでドリブルで運ぶという技も見せるが、やはりダメ。


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 結局、ゴールならず。この試合は1−0でSenchansの勝利。

Senchans vs Barukii2

 自律型ロボット同士の戦い。実はBarukii2はまだキックができないので、今回はキーパー専門。Senchansの攻撃だけ。


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 これは、1本目。来たボールに対してBarukii2が、ちゃんと構えをとったところに注目。そのまま転んじゃったけど、これは発展途上ということだろう。

 結局、Senchansのシュートはゴールに入ることはならず、0−0で終了。

 予選は全部で5試合あるのだけど、これも含めて3試合連続、双方ゴールに入らない0−0の試合が続いた。Senchansの最初のポイントは実はすごかったんだって気持ちになってくる。

Metallic Fighter vs Burning Star

 そして、予選最後の試合だ。実は、Metallic Fighterは不調である。昨日から観客サービスをし過ぎたのか、関節の脱臼(サーボモーターの内部のギアの破損)を起こしてしまった。しかも、補修部品を忘れたんだそうで、モーターの予備がない。

 脱臼したモーターを、他の動きの少ない関節のモーターと交換するなどの処置をするが、それでは本来の動きにならない。この前にあった対Barukii2戦でも、シュートを打ちながら倒れてしまうなどの姿が見られていた。


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 ところが、そのMetallic Fighter、Burning Star戦では、1本目で見事にゴールを決めてしまうのだ(またしても、ボールを追いかけていなくてすみません)。


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*4 去年の世界大会でも同じような現象があった。しかし、ルールでは「フィールドは平面になるように努力はするが、それを完全に保証するわけではない(人間のサッカーと同じ)」となっているので、このくらいのへこみはルールの範囲内だ。

[こばやしゆたか, ITmedia]

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