News 2003年5月21日 11:24 PM 更新

テレマティクスの“将来”と“今”

自動車向けに、高度な道路交通情報や電子メールなど各種情報サービスを提供する「テレマティクス」に、大手自動車メーカーが力を入れている。パシフィコ横浜で開催されている「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2003」では、各社のテレマティクス最新技術を見ることができる

 通信ネットワークに接続できる車載IT端末を利用して、ドライバーや同乗者にさまざまな情報・サービスを提供する「テレマティクス」に、大手自動車メーカーが力を入れている。5月21日からパシフィコ横浜で開催されている自動車技術者向けの展示会「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2003」(主催=自動車技術会)では、各社のテレマティクス最新技術を見ることができる。


パシフィコ横浜で21日から開催している「自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2003」

 三菱自動車ブースでは、テレマティクス実験車「iTディオン」を初披露。「クルマのホットスポット」「クルマの遠隔モニター&操作」「クルマのホームページ」など、自動車の新しい世界をテレマティクス技術で実現している。


 iTディオンには、PCをベースにした車載サーバが搭載されており、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)などを経由してサーバ内のHDDへインターネット上のさまざまなコンテンツがダウンロードされる。車内では802.11gの無線LAN環境が構築されており、無線LAN対応のPDAやノートPCを使ってサーバ内のコンテンツを“ホットスポット”感覚で閲覧することができるのだ。


コンテンツの閲覧だけでなく、エアコンの温度調節やオーディオの操作などもPDAからワイヤレスで行える

 広域の無線通信手段としてはPHSを使い、インターネットに常時接続。インターネット接続可能な携帯電話を使って、外部からドアロック状態のモニタリングやドアの施錠といった操作が行える。


携帯電話で外部からドアロックなどの操作が行える

 また自動車に搭載された各種センサが車載サーバとつながっており、これら車両情報を情報センターにアップロード。車両の平均速度やワイパー作動状況、走行中に入手した自車周辺の交通状況(事故、渋滞)など、個人で入手した情報をホームページ形式にして公開できる。なお会期中は、展示車の車両状況をリアルタイムで見ることができるホームページ(http://www.mitsubishi-motors.co.jp/IT-DION/)が公開される。

大手3社は既存の技術でテレマティクスをスタート

 iTディオンはあくまでも実験車で、この技術が三菱自動車のテレマティクスシステムとしてすぐに採用されるわけではない。一方、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車の大手3社は、今ある技術で実現できるテレマティクスサービスを、昨年から積極的に展開している。

 日産自動車のブースでは、昨年3月に新型マーチへ新採用したテレマティクスサービス「CARWINGS」を紹介している。CARWINGS端末は、専用ユニット(1DINタイプ)がマ−チとキューブに、DVDナビタイプがエルグランド/プリメーラ/フェアレディZ/ティアナに、それぞれ搭載オプションが用意されている。


テレマティクスサービス「CARWINGS」のDVDナビタイプ。CARWINGSの通信は、ドライバー自前の携帯電話を利用する

 CARWINGSの特徴は、音声認識・合成技術を使った音声中心の操作体系だ。1DINタイプのCARWINGS専用ユニットには、4.2インチの小さなディスプレイしか装備されていないが、声で操作できるボイスコマンドや各種情報を音声化するボイスガイドなどにより、ドライバーが画面を見なくても情報を利用できるように工夫されている。


1DINタイプのCARWINGS専用ユニットには、4.2インチという小さなディスプレイしか装備されていない

 「運転中のテレマティクスサービスには、安全面からも大きなディスプレイは不必要。1DINタイプの専用ユニットは、音声中心のサービスに割り切ることで端末を4万9000円という普及価格帯にすることができた」(同社)。

 交通情報/ニュース/天気/電子メールなどは音声認識・合成を使って無人で行われるが、事故などトラブル時のサポートや目的地情報がはっきりしないときなどは、オペレータによる有人サービスが受けられるのもCARWINGSの特徴。例えば、「赤坂のソフトバンクビルに行きたい」と言うだけで、オペレータが目的地を調べて経路データを端末に送ってくるのだ。

 「人同士が“会話”という安全・確実な方法で情報のやりとりができる有人サービスが、ユーザーからも非常に好評。音声認識や情報検索の技術がもっと進めば、これらのサービスも無人化できるだろうが、オペレーターが人間だからいいという面もある」(同社)。

 ユーザーの中には、夜中の運転で寂しかったり、眠くなったりした時に有人サービスを利用するケースもあるという。「このような使い方は本来のサービスから外れるのだが、“運転中の癒し”というサービスも今後は必要になってくるのかもしれない」(同社)。

 そのほか、昨年10月に発表した「CYPHA」(サイファ)にテレマティクス端末「G-BOOK」を標準搭載したトヨタは、今年後半に発売する純正カーナビゲーションシステムの大半にG-BOOKを搭載していくという。またホンダも、工場オプションのカーナビはすべてテレマティクスサービス「インターナビ・プレミアムクラブ」対応とし、今年度末までに販売台数の30%をテレマティクス対応にする構えだ。


ホンダのテレマティクスサービス「インターナビ・プレミアムクラブ」もCARWINGSと同様に自前の携帯電話をケーブルで接続して使う。一方、トヨタのG-BOOKは、KDDIのCDMA2000 1x対応通信モジュールが内蔵されている

関連記事
▼ 燃料電池車からエンジン音の“デザイン化”まで――自動車技術展

関連リンク
▼ 自動車技術展:人とくるまのテクノロジー展2003

[西坂真人, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



Special

- PR -

Special

- PR -