News | 2003年5月23日 08:24 AM 更新 |
Longhornでもっとも特徴的なのは、さまざまなネットワークメディアを透過的に扱おうとしていることだ。
現在、そして近い将来における家庭内ネットワークではさまざまなメディアが存在する。つまり、家庭内の各部屋にカテゴリ5のEthernetケーブルが引かれている家庭もあれば、無線LANを使用している家もある。さらに、電源コンセントをLANのメディアとして利用するHomePlugや、電話線をLAN代わりに使用するHomePNAを利用している家庭もあるかもしれない。
このようにさまざまなネットワークメディアが混在する環境で、どのネットワークメディアを使用しても同じ結果が得られるようにしたのが透過的ネットワークである。
Longhornでは、上記のようなネットワークメディアすべてを扱えるようにしている。さらに、オーディオ/ビデオのストリームを配信することを前提にQoS(Quality of Service)も実現しようとしている。
電源コンセントをネットワークの伝送路として利用するHomePlugでは、次世代規格「HomePlugAV」の策定を行っており、最大100Mbps(実際には50〜70Mbps程度)を目指している。これは、ハイビジョン品質の映像を2本同時に流しても問題ないほどのバンド幅だ。
HomePlugのメリットは、なんといっても、電源コンセントがネットワークメディアとなっていることだろう。ほとんどのAV機器、コンピュータ機器は電源コンセントからパワーを取るので、ほぼ100%がACコンセントの口を持っている。コンセントに挿せば、それだけでネットワークにも接続できるというのは非常に簡単である。現在のデジタル家電のように、電源とは別にネットワークケーブルなどを接続しなければならない煩雑さはなくなる。
HomePlugAV規格で本当に最大100Mbpsが実現できるなら、これで家庭内のネットワークの多くはカバーされるかもしれない。
一方、家庭内ネットワークのメディアとして期待されているのが、電話線を利用するHomePNAだ。HomePNAのバージョン2.0は最大32Mbpsのスピードを持っている。メディアとして各部屋に張り巡らされている電話回線を利用するため、新たなケーブルの敷設コストもかからない。
さらに、次世代規格となるHomePNA3.0では、最大128Mbpsをターゲットにしている。実際に使用する時にはスピードが落ちるにしろ、70Mbps程度を得られるのであればハイビジョンのストリームを2本同時に流すことができる。これなら、家庭に置かれたホームサーバから各部屋にビデオを配信することもできる。
なお、HomePNAには電話線だけでなく家庭内に張り巡らされたTV用の同軸ケーブル(Coax)を利用したネットワークも用意されている。
AVストリームの再生機能を持ったデジタル家電製品(TVやターミナル)を考えた場合、電灯線をネットワークにするHomePlugやTVの同軸ケーブルをネットワークにするHomePNA(Coax)は大きなメリットがあるだろう。
なぜならば、TVやターミナルの近くには必ずACコンセントやTVケーブル端子があるから、わざわざネットワークのケーブルを別に伸ばしてくる必要がなくなるからだ(壁際にケーブルを這わせなくてもいいから見栄えもいい)。
もうひとつ重要になるのが、言わずと知れた無線LANだ。
現在では2.4GHz帯を使用する802.11bが主流だが、これは最大11Mbps(実効スピードは6Mbpsぐらいといわれている)である。一方で同じ2.4GHz帯を利用する802.11gは最大54Mbpsとなっている。
当初は2.4GHz帯の802.11bから5GHz帯を利用する802.11a(最大54Mbps)へ移行すると言われていたが、802.11g規格の早期決定やチップメーカーが暫定規格で対応チップをリリースしたことにより、昨年末あたりから802.11gにも注目が集まってきていて、802.11bの“後継”が11gになるのか11aになるのかは現時点では不透明である(802.11g、標準化によりさらに弾み)。
将来的には、無線LANでもAVストリームがきちんと送受信できるようにQoS(802.11e規格)がサポートされることになるだろう。
[山本雅史, ITmedia]
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