News 2003年5月23日 08:28 AM 更新

Longhornにたどり着くまでの道のり――ネットワーク編(2/2)


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 また、業界では、802.11eのサブセットとしてQoS関連だけをサポートしたWireless Multimedia Extensions(WME)の策定を急いでいる。



無線LANでもQoSをサポートすることで、オーディオやビデオをきちんと見れるようにしようとしている

 WMEが各種の無線LANチップでサポートされることで、無線LANを利用して、ベッドルームや庭に置かれたPCやポータブルTVで映画を見ることも可能になるだろう。

 Longhornでは、HomePlug、HomePNA、Wireless LANなど、さまざまなネットワークメディアのプロトコルスタックをカーネルレベルでサポートしている。さらに、これらのネットワークメディアを透過的に利用できるようにMultimedia Home Netowrk(MHN)というアーキテクチャを持っている。

 MHNでは、各種ネットワークメディア上にあるデバイスを見つけたり、ネットワークのずれを認識したり、各デバイスの時計を合わせたりすることができる。家庭内におけるさまざまなネットワークメディアは、QoSをサポートしているのが前提となっている。

 このため、オーディオやビデオのストリームやリアルタイム性を重視するオンラインゲームなどの優先度(プライオリティ)を上げることで、ネットワークにおける時間のずれを小さくできる。QoSがあることで、ネットワークの負荷が上がったとしても、ホームサーバからネットワークを通じて視聴していたビデオがブツブツに途切れるといったこともなくなる。


LonghornではMHNをサポートする。これにより、さまざなネットワークメディアを透過的に扱うことが可能になる。

 ここまでインフラが整えば、家庭内のLonghornをベースとしたAVネットワークができ上がるだろう。このネットワークを家電製品のハードディスクレコーダーやBSデジタル/地上波デジタル、DVDプレーヤーがサポートしてくれれば、PCを含むデジタル家電製品を有機的に利用することができるようになる。

 例えば、HDレコーダに番組の録画予約をしていたが、HDがいっぱいになってしまった時には自動的にPC側の空きHDに録画してくれるなど、ユーザーにとっては使い勝手が格段に向上するはずだ。

IPv6を本格的に使用できるようになる

 また、Longhornではネットワークの基礎となるTCP/IPのスタックにIPv6を本格的に採用しようとしている。IPv6は使用できるアドレス数が広大になるため、今後のPCにとって非常に重要なテクノロジーだ。とくにこれからのPCアプリケーションとして期待されているPeer to Peer(P2P)アプリケーションのための重要なインフラになる。

 実際、デジタル家電製品などとの接続を考えたUniversal Plug&Play(UPnP)のV2.0規格では、IPv6が採用され、家庭内にあふれるさまざまな家電製品1つ1つにIPアドレスが振られる。

 Microsoftは、IPv6を採用したUPnPにより、デジタル家電製品を簡単にコントロールできるような環境を作ろうとしているわけだ。



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[山本雅史, ITmedia]

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