News 2003年5月30日 09:48 PM 更新

第一人者、Feiner教授が示唆した「ウェアラブルの未来」(1/3)

ウェアラブル研究とその実践における第一人者、コロンビア大学のFeiner教授がこのほど来日。現在のウェアラブルの先を見つめた非常に刺激的かつ示唆に富んだ講演を行った

 米国コロンビア大学のSteven K. Feiner教授は、5月23日から奈良先端科学技術大学院大学で催された「第2回ウェアラブル情報パートナーに関する国際ワークショップ」で講演。ウェアラブルシステムについて、全方位的かつ未来構想を講演した。

 同教授は、コロンビア大学Computer Graphics and User Interfaces Labの所長だが、同研究所はシースルーディスプレイ内の現実環境に仮想環境映像を重畳表示し、室内のガイドやナビゲーションを行う拡張現実システムや、仮想環境提示システムの研究で有名。もちろん同教授もこの分野をリードする一級の研究者である。

 今回の講演でも、その存在感は圧倒的。それは何よりも、彼の話す内容が、あらゆるウェアラブル&拡張現実感のシステムを実際に体験済みである、という自信に裏打ちされているからに他ならない。なにしろ、ウェアラブルシステムについては、1996年から現在まで継続的に研究が進められているぐらいなのだ。

ウェアラブルでWindows画面など見たくない?

 ただ、同教授の話す内容にすべて納得させられたかというと、そういう訳でもない。例えば、Feiner教授がまず言い出した「大掛かりなデバイスはダメ」ということもその1つ。必ずしもそうは言えないのではないかと、疑問が湧かないでもなかった。

 “デバイスはダメ”で、「コンセプトの先行者」として、Memexというすべてのハイパーテキストの原点を構想したVannevar Bush、マウスの父、Douglas Engelbart、Augmented Reality(AR=現実を増幅する技術)を創始したIvan Sutherlandを持ち出すに至っては、なにもそこまで権威主義的にならなくても……とすら感じた。


ウェアラブルのトレンドはソフトウェアにあるという


ウェアラブルの先駆者たち。BushはMemexだけでなく、ヘッドマウントのステレオカメラも考案していたらしい

 もちろん歴史に学ぶことは大変重要である。しかし、現在のウェアラブルのデバイスがダメなのは、おもに製造技術やコストの問題であって、大きさは数年以内に、バッテリーはもう少しかかるかもしれないが、いずれにせよ解決される問題だと思うからだ。それを頭ごなしに「ダメ」と言い切ってしまうのは、先駆者としてあまりにも冷たいのではないだろうか。

 もっとも、Feiner教授の言いたいことはそういうことではなく、デバイス側にはもっと奮起してほしいということなのかもしれない。いずれにせよ、同教授の発表は、デバイスの実験を経て、ハードウェアよりもソフトウェアを構築して待っている段階にあるのだよ、という具合に続いた。

 同教授が放った2つ目の「爆弾」は、ウェアラブルディスプレイで「いったいなにを見たいのか」という問いかけである。

 われわれはウェアラブルでなにを見たいのか。

 Feiner教授は、屋外の写真に、Windowsのデスクトップ画面をオーバーレイ表示させて、「これがそうなのか?」と聴衆に問いかけた。

 つまり、あなたは未完成なデバイスを身につけてWindowsの画面を見るのか? と。


見たいのはWindowsの画面なのかと、とFeiner教授は問いかける


見たいものは、それぞれの状況に応じた情報なのだという。確かにそれはそうである

[美崎薫, ITmedia]

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