News 2003年6月4日 07:41 PM 更新

コンシューマーに見切りをつけたCOMDEX

「最新製品を最速で見るならCOMDEX」と日本から大挙してLas Vegasを詣でたのはずいぶんと前のこと。CESやCeBIT、ベンダー主催のセミナーイベントに押され気味のCOMDEXは、ついにコンシューマー市場と決別するようだ

 6月4日、Key3Media Groupは今年の11月に開催を予定している「COMDEX FALL 2003 Las Vegas」の概要に関する記者説明会を行った。


今年のキャッチフレーズは「IT Unbound!」。境界なきITと訳される言葉だが、その真意は「新技術の統合された情報を提供する」

 COMDEX FALL 2003 Las Vegusは、11月15日から20日までラスベガス・コンベンション・センターで開催される予定だ。PC関連の製品展示イベントとして由緒あるCOMDEXも、最近はCESやCeBITなどのコンシューマー製品イベントの台頭や、Intel Developer ForumやPlatform Conferenceといった技術セミナーイベントのおかけで、「最新製品が初めて登場する」といったCOMDEXのアドバンテージがなくなってきている。今や、ベンダーが最新製品を投入するイベントは、COMDEXではなくCESやCeBITであるのが現実だ。

 この状況を打開するため、COMDEXは「コンシューマー」から「エンタープライズと最先端技術」にシフトする。その理由は「IT業界の変化に対応するため」。


1990年代はPC中心に動いていたIT業界も、今ではネットワークシステムが中心に。さらにこれからは「ユーザーの志向」がメインになってくる。この新しいニーズをうまく取り込んでいくのが、生まれ変わるCOMDEXの目的だ

 COMDEX来場者のほとんどは製品開発担当、先端技術研究者、製品バイヤー。彼らに行ったリサーチの結果を分析すると、最も注目されているのが「分散化された、ビジネスに結びつく情報を、効率的に利用できるシステム」。

 「従来のCOMDEXはデバイスマーケットに応えるための単なるPC関連製品の展示会であった。これからは、多くのビジネスバイヤーが求めているITサポートの関連情報を、積極的に提供していく」。製品単体ではなく、問題解決のための具体的なシステムを扱うイベントに、COMDEXを変えていくつもりだ。


COMDEXのターゲットは「IT業界全体」。そこに含まれるのはベンダー、SI、流通、バイヤー。Key3Mediaは公共機関のスタッフや、企業の管理スタッフ(経理や財務)もCOMDEXの対象者に含めようとしている

 新しいCOMDEXでは、IT業界で注目されているジャンルをイベントテーマとして設定、各テーマをを軸として、関連の最品システム製品や現在研究中の最先端テクノロジーに関するカンファレンスや展示が行われる。今年のテーマは「ワイヤレス&モビリティ」「セキュリティ」「オープンソース」「Webサービス」「Windows .Net」「デジタル・エンタプライズ」「オンデマンド」の七つ。

 展示会は、各テーマで紹介される内容を広くカバーするもの。基調講演やカンファレンスは、カテゴリーに関連するテーマをより詳しく紹介する。より細かく特化した展示を参加ベンダーが独自に行う「カスタムプログラム」も用意される予定だ。テーマごとに区切った「カテゴリー」の中で展示や講演が垂直的に展開するイメージをKey3Mediaは描いている。


新しいCOMDEXの構成。テーマで区分けされたカテゴリーごとに、展示からカスタムプログラムまでが構成される。カスタムプログラムとは、ベンダーが独自に展示やセミナーを行うもの。これまで、会場周辺のホテルなどでベンダーが行ってきたプライベートセッションとの関係については「これらは別なもの。我々はベンダーのプライベートセッションを拒否しないが、カスタムプログラムも利用してほしい」

 会場のレイアウトは、イノベーティブセンターというHUBブースを経由して、各カテゴリーの展示会場が配置される。そのため、カテゴリーという単位で展示ブースが配置されるようになるが、複数のカテゴリーをカバーする大規模ベンダーは、独自で単独のブースエリアを配置できる予定になっている。

 テーマに関連したシステム製品に特化する新しいCOMDEX。参加ベンダーはまだ確定していないが、「IBMなどの最新技術を持っているシステムベンターには積極的に参加を打診していく」一方で、そのころに登場する予定のAthlon 64など、カテゴリーに当てはまらない最新製品については、「それを組み込んだシステムを展示することはあるだろうが、製品単体を紹介するブースは用意しないだろう」と、Key3Mediaは、あくまでも「コンシューマー製品のショーではない」COMDEXにしていくつもりだ。


Key3Media International PresidentのKim Myher氏。「我々の強みはCOMDEX、NETWORLD+INTEROP、SEYBOLD、JavaOneといったブランド力のあるイベントを持っていることだ」

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[長浜和也, ITmedia]

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