News 2003年6月13日 11:59 PM 更新

「電話、必ずつながります」――NECが追求する“サポートの品質”

「121コンタクトセンター」を展開し、ユーザーサポートに注力するNEC。昨年10月には“電話のつながりやすさ”を向上させる新システムで“サポートの品質向上”をさらに求め、今でも“パピコン”のサポートまで対応できるという同社に、その取り組みを聞いた。

 国内のPC世帯普及率は6割を超え、子供からお年寄りまで誰もがPCを扱うようになった。このようにPCが幅広いユーザーに普及するにつれ、質の高い「メーカーサポート」を求める声も急速に高まっている。

 国内PCメーカーの中でも、サポートに定評があるのがNECだ。国内最大級のコールセンターをバックに、電話/FAX/E-mailなどで24時間365日対応する「121コンタクトセンター」を展開する同社に、サポートへの取り組みを聞いた。

 2001年10月に開設した121コンタクトセンターは、製品別に分かれていた電話番号をワンナンバー化し、それまで全国に14カ所あった電話相談窓口を東京・大阪・沖縄の3拠点に統合。ユーザー登録制を導入し、電子顧客カルテを基にした“One to One”のサポートを提供している。


121コンタクトセンター

 NECカスタムテクニカ カスタムサービス本部の木下茂春グループマネージャーは「3拠点で対応するエージェント(サポート対応要員)は合計550人。コールセンターでは、1日あたり約6000件、月18万件の電話サポートをこなしている。2002年5月には、デスクトップPCの生産拠点だった群馬事業場を修理専門の拠点として別会社(NECカスタムサポート)化し、現在200人強のスタッフが修理受付を行っている」と、現在のサポート状況を語る。

“電話のつながりやすさ”を向上させる新システムを導入

 同社が掲げる“カスタマイン経営”の一環として、2002年10月から121コンタンクトセンターの電話サポートサービスを強化。“電話のつながりやすさ”を向上させる新システムの導入や、インターネット予約によるコールバックサービスといった新たな電話サポート体制を築いている。

 「121コンタクトセンター開設後の1年間は、とにかく事業を軌道に乗せることに専念した。2002年10月からはサービスの“品質”を向上させることに主眼を置き、まず、サポート電話をつながりやすくする取り組みを行った」(木下氏)

 PCメーカーの電話サポートは、“つながりづらい”というのが定説になっている。サポート体制の強化をアピールするため、それまでのサポート電話接続率の低さを新聞の企業広告であえて示したソーテックの例などは、電話サポートに苦心するPCメーカーのようすを表している。

 「昨年10月の新システム導入前までは、われわれの電話サポートもなかなか接続率が向上しなかった。当初われわれは、単純に回線を増やしてもユーザーを待たせてはいけないという考え方だった。回線はつながってもエージェントの応答がいつになるか分からないというのは、ユーザーも不安になる。コールに応じてエージェントが数多くいればいいのだが、サポートコストを考えると現実には難しい」(木下氏)

 “電話のつながりやさ”を掲げた同社は、それまでの「ユーザーを待たせてはいけない」という考え方から、「1回でつながり、待ち時間をできるだけ短くする」という考えに方針を変更し、電話回線数を増強してビジー率を大幅に削減。1回の電話で接続して平均待ち時間を3分以内にするなど、“少し”待てばエージェントにつながる電話サポート体制を構築した。

人的コストをかけずにサポートの品質を向上

 新システムの構築にあたり、CTIベンダー大手のジェネシス・ジャパンが提供するコンタクトセンター向けソリューション「Genesys 6」の「Genesys Enterprise Routing」を導入。Enterprise Routingはユーザーからのコンタクト時に、ユーザーの属性やエージェントのスキルなどを考慮して、瞬時に適任のエージェントに振り分けるソリューションだ。

 「Enterprise Routingは、ユーザーからのコールをエージェントに分配する時に、さまざまな情報を取得できる。その中には、直近の平均待ち時間を抽出する機能もあり、ユーザーに目安となる待ち時間をアナウンスできる。そのほかにも待ち時間中には、ユーザーの都合のいい時間に電話をかけ直してもらえる『コールバックサービス』の案内や、代表的なサポート事例のQ&Aを載せた当社ウェブページの紹介などが流れて、待ち時間を有効に使う工夫もしている」(NECソリューションズ サービスシステムグループの鈴木啓太主任)

 またこの新システムでは、ユーザー登録を行っている同社の正規ユーザーに対して待ち時間を短縮する「優先着信」機能も備える。さらに顧客情報のデータベースを参照して、待ち時間の優先順位も変化する。

 「つまり、NEC製品をいつも使っている優良顧客に対して、サポートの質を向上させるといった柔軟なサービスが可能になる。これらを人的コストをかけずに行えるのが、新システムのメリット」(NECソリューションズ サービスシステムグループの藤原司郎マネージャー)


NECのサポート体制について語る3人。中央がNECカスタムテクニカ カスタムサービス本部の木下茂春グループマネージャー、左がNECソリューションズ サービスシステムグループの藤原司郎マネージャー、右が同グループの鈴木啓太主任

 「サポート体制を強化した昨年10月以降はユーザーの反応も良く、アンケート調査でも当社独自の指標で10数ポイントも評価が向上している。詳しく調べてみると、“電話がつながる”というのが一番好評だった。この結果は、われわれにとっても意外だった」(木下氏)

“品質向上”を追求させるのは、20年以上に及ぶサポートの歴史

 同社のサポートの歴史は、「98(きゅーはち)」の愛称で一世を風靡し、のちに“国民機”と呼ばれた16ビットPC「PC-9801」が発売された1982年から始まった。121コンタクトセンターのフロア内にある倉庫には、同社PCの原点となるワンボードマイコン「TK-80」をはじめ、8ビット時代の名機から最新のPentium 4マシン、そしてその周辺機器にいたるまで、新旧のNEC製品約5000アイテムが動作可能な状態で保管されており、どんな古いPCでも実機で検証できるようなサポート体制が完備されている。


121コンタクトセンターのフロア内にある倉庫には新旧のNEC製品がズラリ


5000アイテムの中には8ビット時代の名機PC-8001や、“パピコン”の愛称で幅広いユーザーにBASICプログラミングの楽しさを伝えたPC-6001も……。「FOR〜NEXT」など雑誌からBASICをシコシコ入力していた筆者には“涙モノ”の一品

 「さすがに5000アイテムのすべてを覚えて対応できるエージェントはいない。だが、どんな年代のどんな機種で、その当時どんなQ&Aがあったかを瞬時に検索できる独自のナレッジシステムがある。さすがに最近は問い合わせはないが、PC-6001にもサポート対応できる。今後は、エージェントのスキル向上やサポート受付時間の延長など、サポートの“質”をさらに向上させていきたい」(木下氏)

関連リンク
▼ NECカスタムテクニカ
▼ 121ware
▼ ジェネシス・ジャパン

[西坂真人, ITmedia]

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