News 2003年6月20日 09:59 PM 更新

「マルチオブジェクトコンテンツ」と「H.264」に活路を見出すMPEG-4(1/2)

画質の悪さで敬遠されてきたMPEG-4。だが、今年の後半から実用化されるH.264のおかげでMPEG-2並みの画質に。長いこと夢物語だった映像配信ビジネスだが、FTTHを待たずして現実のものになるかもしれない。

 伊藤忠テクノサイエンス(CTC)は6月20日、MPEG-4の配信システムや活用事例を紹介する「最新MPEG-4ストリーミング応用技術セミナー」を開催した。会場は100人を超す参加者で満員になるほどの盛況ぶりだった。

 MPEG-4というと、どうしても「ビットレートが低いぶん画質が低い」というイメージが強い。最近はDivXのおかげで、MPEG-4の画像データもある程度市民権を得たように思えるが、それでも、ユーザーにしてみれば「ネットを介するストリーミングデータだから画質は我慢」というのが本音だった。

 ストリーミングで動画を配信するコンテンツサービス事業者も、映画のような画質を求められる動画に関しては、MPEG-2のデータをFTTHなどを使い、画質を必要としないライブカメラなどの映像はMPEG-4を使って、それぞれ配信するのが常識となっている。

 ブロードバンドネットワークが普及する兆しを見せたとき、「ようやく始まるビデオ・オンデマンド」といわれたが、結局、FTTHでないと画質的に実用的でないことから、ネットワークで映像を配信するビジネスは、まだまだ本格的に立ち上がっている状況とはいえない。

 それが、2004年から実用化される見通しのH.264(またの名をMPEG-4 Part10)によって、状況が一転しそうなのだ。H.264は1Mbps程度の圧縮レートでもDVD-Video並みの画質を実現するとされている。

 現在ADSLによる実効転送レートが2〜3Mbpsとして(CTCは8Mタイプだろうと12Mタイプだろうと、それほど差はないと述べている)、DVDクオリティの画像を複数送信できることになる。映像配信事業者は、この多重配信がビジネス立ち上げのトリガーになると考えているようだ。


H.264、MPEG-4(ASP)、MPEG-2における品質と圧縮率の関係を示したグラフ。MPEG-4(ASP)の品質上限はMPEG-2に届かないが、H.264はMPEG-2と同程度の品質を実現できる。上限のSNR37dBにおけるビットレートを比較すると、H.264はMPEG-2の半分以下になっている

 だが、それ以上に注目されているのが、一つのコンテンツに複数フォーマットの要素を統合して配信できる「マルチオブジェクトコンテンツ」。MPEG-4はBiFS(Binary Format for Scenes)と呼ばれるオブジェクト記述方式によって、動画やテキストなど、形式が異なるデータを一つのコンテンツとして扱える。Webのように、異なる形式のデータに対してそれぞれアクセスするのではなく、一つのコンテンツにアクセスすればいいので、コンテンツの作成が容易になる。

 また、MPEG-4による配信ビジネスの障害となっていた著作権保護についても、「IPMP」(Intellectual Property Management and Protection)の標準化作業がが現在進められている。


IPMPを取り入れたMPEG-4配信システム。暗号化されたコンテンツには、対応する「キーボルト」が設定される。キーボルトはキーサーバに蓄積され、コンテンツを購入したユーザーに渡された「メディアパス」と照合されて、コンテンツに適合するキーボルトをユーザーに配信する

 CTCの井上太郎氏(Webソリューション営業推進部ブロードバンドソリューショングループ)は、上記のようなMPEG-4の特徴を述べた上で、これから考えられるMPEG-4による映像配信のビジネスモデルを紹介した。

[長浜和也, ITmedia]

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