News | 2003年7月17日 00:02 AM 更新 |
ある意味、WIRELESS JAPAN 2003の基調講演とも言える坂村氏の「ユビキタス・ネットワーク社会の実現に向けて」と題した講演は、これまで繰り返し紹介されてきた「ユビキタスで実現する社会」的な話から一歩踏み込んだ、ユビキタスで必要な端末に求められる機能と、それを開発するために必要なハードウェア、ソフトウェア、そして開発インフラにまで言及した。
坂村氏は講演の冒頭で「現在の携帯電話ビジネスが重大な岐路に立っている」と発言。その岐路とは「携帯電話ビジネスが自動車産業のようになるのか、それともPC産業のようになってしまうのか」。
市場の成熟とともに利益が上がらなくなったPC産業のようになってしまうのか、それとも、自動車産業のように成熟しても利益を上げていけるようになるのか。それは現在開発されている「第4世代携帯電話がどのような機能を実現するか」によって決まる、と坂村氏は考えているようだ。
では、第4世代の携帯電話にユーザーが求めるものとはなんであるか。坂村氏は「これからのユーザーを取り巻く情報環境を正確に予想しなければならない」と述べたうえで、必要とされる機能を決定し、その機能を実現するためのハードウェアやソフトウェアを用意しなければならないと主張する。
このような機能とパーツを実装したデバイスを坂村氏はUC(ユビキタスコミュニケータ)と名づけている。携帯電話はUCに発展していくという坂村氏独特のストーリであるが、講演では、まず始めにユーザーを取り巻く情報環境について考察を行っている。
例えば、ユビキタスコンピューティングでは「ユーザーの利用言語、知識レベル、身体状況に合わせて、表示を変化させる」機能を求めているが、そのためには、システムが「人の位置と属性情報」を把握する必要がある。
人の属性情報とは、ユーザー固有の情報のこと。先ほどの例に当てはめると「ユーザーは誰で」あって、その人物は「普段何語を使って」いて、「外国語はどれだけ使えるのか」「視力は衰えているのか」などの情報が必要になる。
このような機能を実現するために、UCはどのようなスペックを実装しなければならないのか。
[長浜和也, ITmedia]
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