News:アンカーデスク 2003年8月21日 09:00 PM 更新

っぽいかもしれない
ついに大技バックブリーカーが炸裂!?〜ROBO-ONE4決勝トーナメント(1/6)

8月10日、2足歩行ロボット競技会「ROBO-ONE」第4回大会も最終日を迎えた。予選を勝ち抜いた16台のロボットたちによる熱き戦い。大技小技が炸裂した決勝トーナメントの模様を完全レポートしよう。

 台風一過の8月10日、神奈川県・川崎市産業振興会館では、2足歩行ロボット競技会「ROBO-ONE」第4回大会の決勝トーナメントが開催。前日の予選(関連記事を参照)を勝ち抜いた16台による熱いバトルが繰り広げられた。

 競技は、ロボット2台が同時に行う2分のデモンストレーションと、試合とからなるが、最終的な勝敗を決めるのは6人の審査員だ。デモンストレーションと試合とのウェイトは1:1。また、試合についても、その勝敗は60%のウェイトしかない。パワー、自律性、(戦闘)意欲、マナーがそれぞれ10%ずつ加算されるのだ。

 また、ROBO-ONEでは大会ごとにルールの変更が行われているが、今大会で目立ったのは次のようなものだ。

  • リングを囲んでいたアクリルの壁が取り払われた

 つまり、ロボットがリングから落下するかもしれないということだ。リングアウトはダウン1回とみなされ、人間の手によってリング上に戻して再開*1(落ちたらそれでラウンドを失うわけではない)。とはいえ、下は落差40センチを隔てた床だ。クッションもスロープも何もない。これはこわい。そこで、落ちそうになったら人間が手を出してすくい上げることが許される。ただし、その瞬間にリングアウト扱いだ(負けではない)。

  • カウントは厳格に

 今まで、ダウンのときのテンカウントの長さは、審判の裁量に任されていた。 面白くなりそうだったら、おまけすることもあったのは公然の秘密だ。しかし、今回からはストップウォッチで10秒を計測するようにした。大会が成熟したあかしだ。

  • 「3秒ルール」もシビアに

 3秒ルールっていうのは、「ロボットが3秒以上歩行しない場合、審判は歩行することを指示することができる」というものだ。「できる」だから指示するかどうかは審判に任せられているのだが、これをもっと積極的にかけるようにするということ。また、しゃがんだ状態が続く場合にも(その姿勢で移動していても)「立ってください」の声がかかることもある。

一回戦

  • OMNIHEAD前田武志) vs 雑魚(山崎文敬) (左が赤コーナー、以下同じ)

 雑魚は予選を10位(393点)で通過したロボット。彼もROBO-ONEの常連だ。


 第1ラウンド、OMNIHEADは、大きくう回しながら近づいていく。相手の横に付く戦法だ。しかし雑魚もよく反応し、身体の向きを変え正対する。ジャブの応酬の後、34秒、OMNIHEADの左パンチが雑魚のみぞおちに入る。崩れ落ちるようにダウンする雑魚。しかしカウント8で前転するように立ち上がる。


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 ところが、再びOMNIHEADが近寄ろうとするとき、雑魚は自分で倒れてしまう。今度は10カウントで起き上がることができない。このラウンドはOMNIHEADが取った。

 第2ラウンドは両者自滅ダウン1回ずつのドロー。第3ラウンド、雑魚が突っ込んでボディアタックをかけるも自分も一緒に倒れてしまう。絡み合って倒れたために、ノーカウントとなって仕切り直し(*2)。その後もお互い決定的な攻撃はなく、そのままドロー。OMNIHEADの片足を前に出して支点にして、後ろ足で向きを変えるという技はすごい。


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 結果、ラウンド1−0、審査員6−0でOMNIHEADの勝ち。

  • はじめロボット4号機坂本元) vs Adamant-Force(HIRO-HIRO-ELEVEN)

 8月2日と3日に、おもちゃみらい博のバンダイブースで「ROBO-ONEバンダイカップ」が開催された。その大会で優勝したのが「はじめロボット」だ。腰にチャンピオンベルトを巻いての登場。


決勝のとき写真がうまく撮れなかったので、予選のときの写真

 一方、Adamant-Forceは、前回第3位の滝沢一博氏のところに、前回2位の(R-Blueの!)吉村浩一氏がわらじを脱いだというチームだ(*3)。滝沢氏のポリシーである大きさに吉村氏得意の運動性能が加わったのだ。

 期待の対決は、デモンストレーションからもうお互い接近して、一触即発という雰囲気で始まった(って、実は仲がいいんだけど)。

 第1ラウンド、はじめロボットが一気に突っ込んでAdamantを押し倒すも、自分も倒れてしまう。手が絡まって、ノーカウント。おしい。仕切り直して44秒、Adamantの重いパンチが決まる。はじめロボットはダウンしたが、カウント7で起き上がる。しかし、Adamantのパンチが再度決まる。喜ぶHIRO-HIRO-ELEVEN。しかし、やはりカウント7で起き上がる。

 さぁ、Adamantはあと1回ダウンを取ればいいのだ。しかし、はじめロボットは倒れない。倒れても相手に倒れ込む形になって(クリンチか?)、仕切り直しに持ち込む。なんとかこのラウンドを逃げ切った。身長42センチ体重3キロのはじめロボットが、身長50センチ体重4.5キロのAdamantを倒すのはつらいか。


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 第2ラウンドはお互い積極的な殴り合いになる。が、どちらも安定していてなかなか倒れない。しかし、相手の横に付いたはじめロボットがAdamantを引き倒した。しかし、これは配線が絡んで倒れたということでノーカウント。その後Adamantが1度ダウンを奪うもそこまで。ドロー。

 このラウンドのあと、Adamantが調整タイムを取る。ラウンド間に2分までは調整時間が認められているのだ。やはり大きいマシンは倒れたときの衝撃も大きい。

 第3ラウンドはジャブの応酬。途中はじめロボットが倒れるも起き上がる。ここから彼は激しく攻める。押され気味で試合が進んでいるから、ここで相手を倒さないと負けてしまいそうなのだ。そして、ついにダウンを奪う。

 はじめロボットの足がAdamantの下に入り(踏まれたとも言う)、その足を持ち上げることで相手をひっくり返したのだ。しかし、その直前、試合終了のブザーが鳴っていたのだ。歓声でレフリーも聞こえていなかった。このラウンドもドロー。


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 ラウンド0−0。審査4−2でAdamant-Forceの勝利。小さいながら果敢に攻めたはじめロボット4号機にも2票入ったのだ。


*1 将来は、自分で復帰することが求められるようになるのだろう。
*2 両者が同時に倒れたとき、絡み合っていなかったら双方ダウンでカウントを始める。絡み合っていたら危険なので、ノーカウントとして仕切り直しとなる。
*3 一博+浩一で、ヒロヒロイレブン。

[こばやしゆたか, ITmedia]

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