News | 2003年9月25日 06:53 PM 更新 |
セイコーエプソンは9月25日、新開発の顔料系/染料系インクを採用したプリンタ新製品群を発表。A4インクジェットプリンタ4機種と、複合機1機種、ダイレクトプリント機1機種の計6機種を新たにラインアップした。価格は全機種オープン。A4インクジェット機が10月3日から、複合機とダイレクトプリント機が10月17日から発売する。
「つよインク」と名づけられた新開発のインクは、A4フラッグシップ機「PX-G900」に採用された顔料系の「PX-Gインク」と、A4ミドルレンジ機「PM-G800」「PM-G700」/複合機「PM-A850」/ダイレクトプリント機「PM-D750」に採用された染料系「PM-Gインク」、A4エントリー機「PX-V600」に採用された顔料系「PX-Vインク」の3種類が用意された。
各プリンタに採用されたインク種類や実売価格などは以下のとおり。
PX-G900 | PM-G800 | PM-G700 | PX-V600 | |
プリンタ種類 | A4インクジェット機 | |||
インク種類 | PX-G(顔料系) | PM-G(染料系) | PX-V(顔料系) | |
インク色数 | 8色 | 6色 | 4色 | |
実売価格 | 4万円台なかば | 3万円前後 | 2万円前後 | 1万円台なかば |
発売時期 | 10月3日 |
PM-A850 | PM-D750 | |
プリンタ種類 | 複合機 | ダイレクトプリント機 |
インク種類 | PM-G(染料系) | |
インク色数 | 6色 | |
実売価格 | 4万円前後 | 2万円台なかば |
発売時期 | 10月17日 |
同社は、昨年3月に発表した「PM-4000PX」でコンシューマ向けに顔料系インクを初採用。その後、今年2月に発表した「PX-V700」/「CC-600PX」で、普及価格帯モデルにも顔料系インク採用機種を広げている。
顔料系インクは、耐光性、耐水性、耐ガス性など保存性に優れ、普通紙でもくっきりと印刷できることから、保存性を求めるユーザーに支持されている。だが、染料系インク方式が6色を使うのに対して「PX-V700」や「CC-600PX」などでは4色インクとなり、発色性/階調表現/光沢性といった“写真画質”での比較では、染料系インクに一歩譲るカタチとなっていた。
「写真を表す“Photo”という言葉には、“光る”という意味もある。つまり、写真は光っていなければいけない。染料インクはペーパー表面に染み込むため光沢性が高くなるが、顔料系は粒子で存在するため表面に残り、光沢性にばらつきが発生していた」(同社)
今回、フラッグシップ機「PX-G900」に採用された顔料系「PX-Gインク」は、従来から顔料系インクで用意されていた「シアン/マゼンダ/イエロー/フォトブラック/マットブラック」の5色に加えて、「レッド/ブルー」の新色2色と透明色「グロスオプティマイザ」を新たに採用し、合計8色インクとなった。
「今回新たにレッドとブルーのインクを使うことで、従来にない広い色再現範囲を確保。また、インク粒子をコーティングしている樹脂カプセルを高密度化して表面の平滑性を高めることで、光沢性を向上させた。さらに透明インクのグロスオプティマイザによって、プリント表面を均一化して美しい光沢感を作り出している」(同社)
このPX-Gインクを採用したPX-G900は、最小ドットサイズ1.5ピコリットルとMSDT(マルチ・サイズ・ドット・テクノロジー)技術で最大2880×1440dpiの高解像度を実現したハイエンドモデル。写真画質に迫る色再現性や階調表現と、顔料系インクならではの高い保存性を両立している。給排気音やプリント音を抑える静音設計で、USB2.0とIEEE1394の2つの高速インタフェースを備えた。
エントリー機「PX-V600」に採用された顔料系「PX-Vインク」は、インク粒子を樹脂でコーティングする新方式によって耐オゾン性、耐光性、耐水性を向上したほか、2種類の樹脂をブレンドすることでインク定着性がアップ。その他、画像処理エンジンも改良され、従来機種(PX-V700やCC-600PX)と同じ色数(4色)ながらも、写真画質が大幅に向上している。
保存性を大幅に高めた“新”染料系インク
「つよインク」の名称は、従来、顔料系インクでうたってきたセールスポイントである“きれいが長持ち”から由来する。つまり高い保存性は顔料系インクのアドバンテージだったわけだが、この長所を染料系インクにも求めたのが新開発の「PM-Gインク」だ。
[西坂真人, ITmedia]
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