News | 2003年9月26日 11:59 PM 更新 |
昨年10月、Hewlett-PackardとMicrosoftの協業により誕生したMedia Center PC。今年はそのバージョンアップ版が、日本を含む5カ国で発売される。そのソフトウェア基盤となる「Windows XP Media Center Edition」は、TV、音楽、ビデオ、デジタル写真といった、今日のコンシューマーPCで扱うことが当たり前となっている用途を、“OSの機能”としてサポートする。
米レドモンドのMicrosoft本社に設置されているeHOMEのデモンストレーション環境、コンシューマー・エクスペリエンス・センターでMedia Center PCのマーケティングマネージャーを務めるトム・レーメル(Tom Laemmel)氏に話を伺いながら、Microsoftのコンシューマー向けWindows戦略を探ってみた。
ビル・ゲイツの自宅用システムから生まれたMedia Center
さてレーメル氏の話の前に、Media Center PCとWindows XP Media Center Editionについて、簡単に解説を加えておきたい。
Media Center PCは、テレビやビデオ、音楽、写真などを、AV家電に近いシンプルな操作で扱えるようにすることを目指したPCである。そのOSであるMedia Center Editionには、家電スタイルでPCのマルチメディアを扱うためのユーザーインタフェースを備えた専用のアプリケーションなどが追加されている。
OEM専用バージョンで、パッケージ販売は行われていない。Media Center Editionは、いわば、その機能をフルに使える“Media Center PC”の要件を満たしたPCでのみ利用可能な“特別版Windows XP”なのだ。
同社が最初のMedia Center PCを投入したのは前述のように昨年10月のこと。だが、製品にはTVの電子プログラムガイド、CDの曲名データベースとジャケット写真など、地域や言語に密接に関係する機能が存在した。そのこともあってか、米国以外での製品投入は見送られた。
まずは慎重なスタートを切った同社だが、今年5月に開催されたハードウェア開発者向け会議「WinHEC 2003」では、サポート地域の拡大と機能向上を目指したMedia Center Edition 1.2を年末までに提供することを発表。加えて、来年末にはその機能をさらにアップさせたMedia Center Editon 2.0をリリースすることをアナウンスした(名称はいずれも正式なものではない)。
WinHEC 2003ではほかに、Media Center Edition 1.2においてWindows Media Series 9の技術を導入すること、メーカー独自の機能拡張を可能にしたこと、細かな使い勝手を改善したことなどの情報も公開。リモート端末からもMedia Centerのユーザーインタフェースを利用可能にするため、リモートデスクトッププロトコル(RDP)を拡張し、動画や音楽などのメディアストリームをネットワーク経由で配信可能にする機能拡張も計画。その機能を利用した端末の提案も行った。
ではそうした機能を実装するというMedia Center Edition1.2は、製品としてどのようなものになるのだろうか?
「Media Center Edittion 1.2については……実際に発表される製品の名称は異なりますが、製品発表直前ということもあり、今は何も話すことができません。10月になれば、もっと自由に話せるのですが……。発表は米国で9月末、日本では数週間遅れになります。いずれにしろ、そのときに新しい製品の詳細が明らかになります」(レーメル氏)
HPが発売した最初のMedia Center PCは、デスクトップのPCにリモコン用ユーザーインタフェースが付加され、テレビ機能が操作できるなどの要素はあったものの、何かとって付けたような違和感を感じたものだ。その後のデモンストレーションで、新バージョンがルック&フィールを改善したものになることが明らかになっているが、元々、テレビパソコンがコンシューマー向けデスクトップの中心にある日本においては、その存在意義に疑問を持つ向きも多い。 「それらに対する適切な答えになるかは分かりませんが、Media Centerの生い立ちに関して知っておいてください。元々のコンセプトは2年前、ビル・ゲイツの自宅に家庭向けコンピュータシステムを構築した時に生まれました」
[本田雅一, ITmedia]
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