News 2003年10月7日 04:10 PM 更新

DVD-RとDVD+Rが2層記録に対応へ

パイオニア、Philips Electronicsと三菱化学メディアから10月6日、追記型DVDの2層記録技術に関する発表が行われた。ここでは、これまで実現困難とされてきた同技術が抱える問題点や疑問について解説を加えることにしよう。

 10月6日、パイオニアからはDVD-R、蘭Philips Electronicsと三菱化学メディアからはDVD+Rの2層記録技術の開発がそれぞれ発表された(関連記事12を参照)。

 いずれも片面2層のDVD-ROM(DVD9と呼ばれる)と同じ記録容量「8.5Gバイト」を実現したもの。現在のDVD-ROMとの“再生互換性”があるという点が特徴だ。

 追記型DVDの2層記録は、これまで、DVD-ROMとの互換性が得られないため、実現困難と言われてきたものだ。この発表以後も、業界関係者の間では、「本当にできたのか? 実物を見てみないと何ともコメントできない」という懐疑的な声があるのもまた事実である。

 では、なぜ追記型DVDにおいて2層記録の実現が困難と言われていたのか。

 その理由は、現在のDVD-ROMと同じ構造を採用すると、光の入射角からみて奥の記録層に到達するまでに光が吸収されてしまい、互換性が取れなくなってしまうからだ。

 ニュースリリースによると、DVD-Rの2層記録にめどをつけたパイオニアでは、記録層の“積層構造”をとることによってこの問題を解決したようだ。

 通常、2層のDVD-ROMを作成する場合は、光の入射角からみて手前の層(L0)の信号(ピット)を刻んだ0.6ミリの基板と後ろの層(L1)の信号を刻んだ0.6ミリの基板を別々に作成し、最後に“貼り合わせる”ことで作成される。同社の積層構造では、0.6ミリの基板の上に反射層と2つの記録層を“積層”し、最後に0.6ミリのダミー基板を貼り合わせることで1枚のメディアを作成している。

 ちなみに、この構造なら、両面2層の17Gバイトの容量を持つDVD-Rも実現できそうだ。将来的には、DVD-ROMですら発売されていない両面2層DVDメディアがDVD-Rで登場することになるかもしない。

 一方、Philipsと三菱化学メディアが開発したDVD+Rの2層記録では、光の入射角からみて手前の層(L0)と後ろの層(1L)のそれぞれに反射層を置いているのがポイントだ。

 L0の後ろに配置される反射層は、光を透過する銀の合金を採用し、L1の層の後ろには、通常の反射層が配置されている。両社では、記録層に採用する色素や透過する反射層に使用する材料などの最適化を行い、DVD+Rの2層記録を実現したようだ。


DVD+Rの2層記録メディアの構造。光を透過する反射層が準備されているのが特徴

記録方式やアドレッシングに注目が集まる

 今回の発表では、詳細な技術内容が公表されていないため、いくつかの疑問点もある。中でも、個人的に注目しているのは、物理アドレスや記録方式である。メディアの物理アドレスをどう取得するかが、記録方式に大きく影響を与える可能性があるからだ。

 2層のDVD-ROMには、平行トラックとも呼ばれる「パラレル」と逆行トラックと呼ばれる「オポジット」の2種類の読み出し方式がある。

 パラレルでは、データを常に内周から外周へと読み出し、例えば最初の層の再生が終わったら、ピックアップを最内周まで移動させ再生する層を切り替えた後に再び内周から外周に向けて再生を行う。一方、オポジットでは、内周から外周に向けて再生を行い、そのまま再生する層を切り替えて、外周から内周へと再生を行うというものだ。

 記録を行う場合、パラレルなら、内から外、内から外と記録すれば良いので、1つのメディアに仮想的に2つのメディアが入っていると仮定して、従来の1層メディアと同じように記録すればよい。

 問題は、内から外、外から内へと記録するオポジットである。オポジットでの記録をサポートしようとすると、内から外、外から内に記録する必要が出てくる。つまり、オポジットでは、逆から記録してもきちんと物理アドレスを取得できるように考えておく必要がある。

 例えば、ドライブの記録方式をパラレルのみとかオポジットのみと限定してしまえば、実装も素人目に見ても簡単そうだ。しかし、オポジットをサポートするとなると、難しいような気がするのは筆者だけではないだろう。

 また、パラレル/オポジットの両方式をサポートするとして、記録時に必要となる物理アドレスは、2枚ある0.6ミリの基板両方に刻んでいるのか、それとも片方にしか刻んでいないのか、どちらなのだろうか。

 仮に2枚の基板両方に別々に物理アドレスを刻むということになれば、もちろん、コスト増にそのまま跳ね返ってくる。現在の記録型DVDメディアの製造は、片方はダミー基板であるため、記録層が設けられている基板よりも短時間で製造されている。しかし、記録に使用するアドレスを刻むということになれば、記録層が設けられている基板と同じように製造しなければならなくなるだろう。これは、そのままコストアップにつながるのだ。

 さらに、これはDVD-Rメディアのみの問題だが、物理アドレスの取得方式をどうしたのだろうか? DVD-Rメディアは、現在、ランドプリピットを使って、記録アドレスを取得している。しかし、ランドプリピットは、高速化には不向きと言われ、8倍速まで高速化した段階で、すでにその取得が難しくなっていると一部でささやかれているばかりか、記録品質の劣化の原因になりつつある、とまで言われている。もしかしたら、従来とは異なる新しい物理アドレスの取得方式が採用されるということもあるかもしれない。

 ちなみに、DVD+Rの2層記録では、従来と同様のウォブルを使ったアドレッシングが採用されるようだ。記録速度は、2.4倍速とされている。

DVD+Rの2層記録デモが行われるCEATECに注目

 パイオニアでは、同社が開発したDVD-Rの2層記録技術を「今後、さらなる特性改善を進めるとともに、DVD Forumへ規格提案を行う」としてしており、近い将来、2層記録に対応した記録型DVDドライブが製品化されることになるだろう。

 一方、DVD+Rの2層記録の登場時期は、もっと早い。Philipsのニュースリリースには、年内にDVD+Rの2層記録を規格化し、来年から製品を出荷するとある。

 なお、DVD+RW Allianceでは、本日開幕した「CEATEC JAPAN 2003」(10月11日まで)において、DVD+Rの2層記録のデモを行うとアナウンスしている。その中で、2層記録についての詳細な技術が公表される可能性が高い。追記型DVDの2層記録に興味がある方は、CEATECでの発表にもぜひ注目してほしい。

関連記事
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[北川達也, ITmedia]

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