News | 2003年10月10日 08:20 PM 更新 |
BD-ROM、BD-Rを規格化し、2倍速へと高速化するBlu-ray Disc
Blu-ray Disc規格は、ご存じのように書き換え型の「Blu-ray Disc ReWritable(BD-RE)」からスタートし、今後、再生専用の「BD-ROM」、追記型の「BD-R」、PC用のデータ記録用の「BD-data」という4種類の規格が策定されることが既に公表されている。これらの規格は、すべて「Transfer all features」という思想のもと、互換性がとられる予定となっている。
「私たちは、RE、R、ROMというのが同一容量、同一構造であるということを極めて重要視しています。ROMだけで頑張ったら30Gバイトまでいくかもしれません。しかし、それでは使いにくくなります」(ソニーブロードバンドネットワークカンパニー オプティカル開発本部 部門長 小川博司氏)
まず、再生専用のBD-ROM規格は、年内に暫定規格ともいえる「Ver0.9」へとアップデートされ、来年初めに正式バージョンの「Ver1.0」が発行される予定だ。カートリッジがない「ベアディスク」が標準として採用され、カートリッジ付きのディスクは、「オプション」として規定されるという。
Blu-ray Discでは現在、傷が付きにくく、指紋やほこりが簡単にふき取れる「ハードコート」技術を各社が開発中だ。ベアディスク化は、これを採用することによって実現することになりそうだ。
それでもカートリッジがオプションとして採用されたのには、もちろん理由がある。ハードコート技術といっても完璧ではないからだ。取り扱いによっては、致命的な読み出しエラーを引き起こす原因となりかねない。例えば、子供がチョコレートを付けてしまったり、カッターなどで傷を付けれたりすれば、もちろん、読み出しエラーの原因となる。今回のカンファレンスでは触れられなかったが、カートリッジをオプション化した背景には、ハリウッドの要望があったようだ。子供がベアディスクを取り扱って問題が生じたりしないようにカートリッジ付きを、というわけである。
また、追記型のBD-Rの発行は、BD-ROMの規格策定から少し遅れた「来年半ば」と予定されている。BD-Rでは、当初から2倍速(72Mbps)の記録速度と2層記録がサポートされ、BD-ROM規格同様にカートリッジを用いない「ベアディスク」が採用される予定だ。
既に製品化が始まっているBD-RE規格は、今年7月に多少の変更が加えられたVer1.1規格が発行済みであることが公表されたほか、来年半ばにVer2.0が発行予定であることが明らかにされた。
このVer2.0では、記録速度が「2倍速」へと高速化され、BD-ROM/Rと同様にベアディスクが採用される。Ver2.0に対応した民生用のレコーダーでは、2倍速へと高速化することで人気の「追っかけ再生」などの機能を実装することが可能となる。カートリッジは、オプションとして残されるが、メディア全面をカバーする現行の密閉型から、記録面のみをカバーするオープン型へと移行する予定だ。
加えて今回のカンファレンスではほとんど触れられなかったが、Blu-ray Discのロードマップでは、2倍速のBD-RE規格策定とほぼ同時期に、PCのデータ記録用の規格「BD-data Ver1.0」も策定される予定だ。情報が少ないため、BD-dataがどのような規格か詳細は不明だが、基本的には、BD-RE規格をベースとした派生規格となるようだ。ただ、データ記録用ということから、少なくとも何らかのディフェクトマネジメント(欠陥管理)機能も実装されているはずだ。このBD-dataは、当初、CLV記録による2倍速からスタートするが、将来的には記録速度を4倍速に高速化し、同時にCAV記録をサポートした「BD-data Ver2.0」規格が策定される予定となっている。
今回公表された内容からも分かるように、Blu-ray Discファミリーでは、最終的にはすべての規格でベアディスクが採用され、カートリッジは基本的にオプション仕様へと変更される。また、Blu-ray Discファミリーは、BD-RE、BD-ROM、BD-R、BD-dataの4種類の規格策定を終えた段階で、規格化の最初のフェースが終了するというロードマップが描かれている。
学会などでは既に6倍速記録や4層記録などの成果が発表されており、次のフェーズでは、より高速な記録が行えるようになる可能性が高い。もしかしたら、4層記録などを採用し、より大容量記録が行えるようになることもありえるかもしれない。
ちなみに、書き換え型の規格が、BD-RWやBD-RAMではなく、「BD-RE」と呼ばれているのには大きな意味があるそうだ。「RAMでもなく、RWでもありません。ですが、両方の人たちが、DVDの時にやろうとした構造は、すべて入れておりますので、DVD-RAMで実現したかったことも、DVD-RWで実現したかったことも、これ(BD-RE)を使えばできます」(ソニー 小川氏)
Blu-ray Discを支える技術とは?
次に、これまであまりたくさんの情報が提供されてこなかったBlu-ray Disc規格の核となっている技術やアプリケーションなどについて、既に製品化が始まっているBD-REをベースに紹介しておこう。
[北川達也, ITmedia]
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