News | 2003年10月31日 09:47 PM 更新 |
例えばある情報をネットワークで共有する場合、グループで共有する情報とグループメンバーの関係は不明瞭だ。誰がどの情報に対して興味を持ち、あるいは深い知識を持つかといった、背景となる情報はわからない。つまりシステム上、情報とメンバーの距離は同じだが、実際の人と情報の関係を整理すると、ある情報に近い人もいれば、遠い人もいる、ということなる。
そこで人間と情報、それぞれの相互関係を研究するため、MSRは「wallop」というWebサービスで実験を行っている(現在は限定ユーザー向けの実験サービス)。このサービスではグループメンバーをさまざまな切り口で細かくダイナミックに分類し、彼らがコミュニティの中で生み出す情報アイテムの履歴をトラッキングする。
例えば共有している写真の中に気に入ったものがあるとしたら、それを撮影した人物、自分の写真の好みに近い人物などを、ビジュアルで示したりできる。またある話題に関して興味を持っている人物、詳しい人物などを見ることも可能だ。
MSRはここでの研究成果をマイクロソフト本社にフィードバックし、Longhornやそのほか製品への実装を目指している。
教育分野へのTablet PCの応用
なかなか普及が進んでいないTablet PC。可能性を見せながらも、アプリケーションへの実装面で今ひとつインパクトのある提案ができていないようだ。しかしMSRが開発中の教育用Tablet PCは、その可能性を示す好例になっている。
この教育用Tablet PCには、学生がノートを取ったり、あるテーマに沿って学習するためのさまざまな機能が実装されている。
例えばノート上に手書きで数式を書くと、Tablet PCが自動的に数式を認識。数式をドラッグ&ドロップで空白部に落とすと、自動的にグラフが描画される。さらに別の数式をそのグラフにドロップすると、今度は別の色で新しいグラフが重なる──といった具合だ。もちろん、消しゴムで数式の一部を消して内容を書き換えると、即座にグラフの内容も変わる。
また振り子の絵を手描きし、さらに振り子が揺れる物理モデルを数式で記述して両者を関係付けると、数式に合わせて絵が動き始める、といったデモも行われた。同様にボールを投げた時の軌跡を描くといったこともできる。もちろん数式中のパラメータを変えればアニメーションもそれに応じて変化する。
MSRではこれを「マジックペーパー」と呼んでいるそうだ。学習時にノートを取って数式を書き、計算でその結果を求めても、今ひとつ現実感がわいてこないものだ。しかしマジックペーパーでは、その場でコンピュータが簡易シミュレーションを行うことで、ビジュアル面からも学習をサポートできる。
世の中、手書きの方が都合が良い分野はたくさんあるものだが、紙に書いている限り、コンピュータが持つようなインテリジェントな機能を実装することはできない。教育用Tablet PCはまだ研究段階のようだが、将来的にはさまざまな分野で手書きとインテリジェントな自動処理の組み合わせが実現可能になるはずだ。
[本田雅一, ITmedia]
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