News:アンカーデスク | 2003年11月28日 08:45 AM 更新 |
もともとXbox用ソフトウェアであった「HALO」。その移植版「HALO COMBAT EVOLVED」(以下HALO PC)の開発はオリジナル制作元BUNGIEではなく、gearbox software社が行っている。
gearbox software社は日本ではそれほど有名ではないが、世界的なヒットを飛ばした「Half-Life:Counter-Strike」の開発を手がけたことで知られ、最近では「JAMES BOND 007:NightFire」「Tony Hwak's Pro Skater3などのPC移植版を手がけるなど、3Dゲーム開発スタジオとしてはそれなりに実績のあるところだ。
NVIDIAは2003年10月21日、サンフランシスコ市で、新GeForce FXシリーズであるGeForce FX 5950 Ultra/5700 Ultraの発表イベントを開催したが、この日の午後には有名ゲームスタジオ数社によるテクノロジー・セッションも行われた。
「HALO PC」のセッションでは、gearbox sogtwareの社長であり、HALOのPC移植版プロデューサでもあるRandy Pitchford氏が壇上に立ち、この移植プロジェクトにまつわる講演を行った。
ここでは、このセッションの内容を踏まえつつ、HALO PCのテクノロジーサイドの話題を取り扱ってみたい。
HALO PCはDirect X 9世代GPUに対応しているか
HALO PCは、Direct Xコンポーネント提供元であるマイクロソフトブランドで発売されたということ、そしてDirect X 9世代のGPUが一通りそろっているこの時期に発売されたことから、PCの3Dゲームファンの多くは「どの程度DirectX 9テクノロジーに対応しているのか」に興味があるだろう。
結論から言えば、Halo PCはDirect X 7世代GPUからDirect X 9世代GPUまで、スケーラブルに対応したゲームエンジンで動作している。
Pitchford氏によれば、Xbox版のゲームエンジンのグラフィックスエンジン部分にはかなり手が入れられ、ほとんど新規開発に近いものとなったという。
「Xboxは“PCが箱に入ったもの”という人がいるが、それは半分正解で半分誤りだ。Xboxソフトの移植というのはそれほど簡単なものではない。基本的な部分から言えば、3Dモデルやボーンの設定は初めからやり直しになる」
「XboxにGeForce3+α相当のGPUが搭載されていることは有名だが、シェーダプログラムをそのまま活用することが出来ない。これも、再エンジニアリングが必要になってくる」(Pitchford氏)
開発当初から目標として決まっていたのは、グラフィックスエンジンをDirect X 7世代GPUからDirect X 9世代GPUまで、それぞれの世代のGPUで最上位のビジュアルを実現することだった。具体的にいうと、Direct X 9世代GPUで動作させた場合はプログラマブルシェーダ2.0に対応したシェーダが起動、Direct X 7世代GPUで動作させた場合はハードウェアT&Lが利用される。
ただし、一口に○○世代GPUといっても、実はGPUベンダー毎に仕様が異なる。Direct X 9のDirect3D(以下D3D9)に対応した最も新しい世代といえるGeForce FXシリーズとRADEON 9500以上であっても、両社はサポートしているレンダリングターゲットのサーフェースフォーマットが違う。そんなわけで、ユーザーの多い有名GPUについては個別に対応したという。
HALOは、日本では知名度こそ低いが、欧米ではメガヒットを飛ばした作品ということで、その移植版への期待感は大きい。そのPC版にXbox版以上のビジュアルを求められていることを知ったgearbox softwareでは、プログラマブルシェーダ2.0をベースにして基本グラフィックスエンジンの制作を進めたそうだ。そして、下位クラスのGPUで動作する場合は、簡略されたシェーダに置き換えたり、あるいはシェーダ動作そのものを省略するといったアプローチで対応する方針を取った。
[西川善司, ITmedia]
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