News:アンカーデスク 2003年11月28日 08:45 AM 更新

3Dゲーム最前線インサイドレポート
HALO PCの秘密(第1回)(2/2)


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 もっとも、開発当初に「重荷」となったのは、シェーダ制作よりもテクスチャの作り直しだったという。Xbox版HALOはテレビ出力を前提としているため、テクスチャ解像度が非常に低い。1024×768ドット以上の解像度でプレイされることの多いPC版に、テクスチャをそのまま持っていくことはクオリティ的に許されなかったようだ。

 また、プログラマブルシェーダが一般化してきた現在において、テクスチャは画像を入れておくだけのものではなく、法線ベクトルなどを格納した法線マップのような使われ方も増えてきている。クオリティの高い移植を行うとした場合、そうした特殊テクスチャまで気を配る必要が出てくるのだ。

 つまり、画像テクスチャだけクオリティアップしても、法線マップもこれに合わせたクオリティにしなければ、環境バンプマッピングなどを行ったときに、精度の高い演算が出来ず、ビジュアル表現として不自然かつ違和感の出るものとなってしまう。

 Xbox用ソフトのPCへの移植は、簡単そうなイメージがあるが、実はそのほかの家庭用ゲーム機用ソフトの移植と、その労力はさほど変わらないのだ。


HALO PCの影生成技法はHalf-life2でも採用されている投射テクスチャマッピングを使ったプロジェクションシャドウ技法を使っている(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)


パワーアップ移植を狙うのであれば、影生成はセルフシャドウ表現に対応して欲しかったところ……(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)


ヘッドライトの表現もライトマップを投射テクスチャマッピングすることで行っている。HALO PCでは、このヘッドライトも光源体として設定されているため、雪面の凹凸のバンプマッピングではこのヘッドライトを光源とした陰影が正しく出ている。パラついている無数の雪はパーティクルシステムによるもの。なにげに負荷の高いヘビーなシーンだ(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)


この巨大建造物の影のように、静的な影はプリレンダー生成が施されている(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)


プログラマブルシェーダによるモーションブラー処理を活用したズームスコープのズームイン動作表現(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)



高輝度光源体を直視した場合や、その一次反射光には、光があふれ出すグレア効果が適用される。これはスプライトを使ったフェイクではなく、プログラマブルシェーダによるイメージベースの効果だ(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)


HALO PCでは、壁などのテクスチャにペアで凹凸を表現した法線マップを持つ。プログラマブルシェーダでは、これがバンプマッピングとして表現される。最近のPCゲームでは、画像テクスチャと法線マップのペアリングが当たり前になってきている(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)


氷のひび割れをバンプマッピングで、周囲の映り込みを環境マッピングでそれぞれ表現している。プログラマブルシェーダによって、これらの効果を一つのシェーダで同時に行っている(クリックすると画面の一部が原寸で表示されます)

(次回は異なるDirect X世代GPUで動かした場合にどれだけ描画が異なるのかについて見ていきたい)

[西川善司, ITmedia]

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