News | 2003年12月3日 10:08 PM 更新 |
先日発表された、PCや半導体などの「電子産業に関する市場動向の発表」では、2003年は回復の兆しが見えていた2004年以降も成長を続けるだろう、といった予測がなされている。
長らく苦しい状況が続いていた半導体業界だったが、この回復振りを示すかのように、12月3日から始まったSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)主催による「SEMICON JAPAN 2003」は、幕張メッセの全ホールを使い切って展示が行われるほどの盛況ぶり。事前登録の状況も「かなりの手ごたえを感じている」(SEMIジャパン代表 内田傳之助氏)
SEMICON JAPAN 2003の開会式直後に行われた記者会見では、内田氏やSEMI CEOのスタンリー・マイヤーズ氏が、半導体市況推移を示しながら、全世界的な半導体産業の回復状況や2008年までの中期的な成長予測について説明している。
「市況が回復基調にある日本の強味は、“RFID”“カーエレクトロニクス””ロボット”の3分野。SEMICON JAPAN 2003でもこの3分野の展示に注力している。また、これから本格的に産業化が立ち上がるナノテクノロジーについても、MEMSを中心にSEMICONとしては始めての専門パビリオンを設置した。このような展示によって日本の半導体産業の強さを世界に発信したい」(内田氏)
「全世界的に見ても半導体市場は回復傾向にあり、今後2年間は成長しつづけるだろう。その原動力はエンターテイメント系デジタル家電、通信、デジタルカメラ、そしてネットワークゲームなどのコンシューマー市場だ。稼働率が低かった生産設備もここにきてフル稼働してる。さらに300ミリウエハーに対応するための設備投資も増加し続けている」(マイヤーズ氏)
両氏の説明にもあるように、このところの半導体産業の回復は、新しい事業の立ち上がりによるコンシューマー需要の増加と、大型ウエハーといった新技術への対応が大きく作用している。さらにこの先も微細プロセスへの対応や、マイクロマシンニング産業の立ち上がりによって新たな設備投資が続くことになる。
また、マイヤーズ氏は地域別の成長データを示しながら、日本における急速な回復と、2004年から2006年にかけての伸び率が、ほかの国と比べて突出するほど急激に成長する予測を示している。
トヨタが車載コンピュータに期待すること
半導体産業が成長する主要3分野の一つであるカーエレクトロニクス。SEMICON JAPAN 2003のキースピーチではトヨタ自動車常務取締役の小野博信氏による「新世代ハイブリッド車を支える半導体技術」と題する講演が行われた。
小野氏はその講演の中で、PRIUSに搭載されている車載PCにどんな役割を期待し、その期待を実現するために必要なCPUのパフォーマンスと構造について説明した。
車載PCに期待される機能としてすぐに思いつくのが、G-BOOKなどで実現する位置情報、ネットワークと組み合わせて提供される情報提供、そしてDVDプレーヤーを始めとするエンターテイメント機能だろう。しかし、トヨタでは、自動操縦も視野に入れた「ドライビングアシスト機能」を目指しているようだ。
たとえば、慣れないとなかなか難しい車庫入れや縦列駐車。車載カメラで映し出された映像に、車を停めたい場所を矩形のエリアで指定すれば、その場所に向かって車が勝手に車庫入れをしてくれる機能(Intelligent Parking Assist System)や、車がスリップしてスピンしそうになったら、加速度から車の挙動を探知し、ハンドルを自動で操作してスピンを防ぐ機能(Steering assisted vehicle Stability Control、S-VSC)をトヨタは実現しようとしている。
このような高度な機能を実現するために、例えばCPUは「より高速なCPUが必要になる。現在0.25マイクロプロセスを採用しているが、2005年には0.13マイクロプロセスに移行する」(小野氏)。講演で示された車載用CPUのロードマップでは、現在80MHzの動作クロックが2004年で120MHz、2005年に266MHz、そして2007年で400MHz(プロセスも0.10マイクロルールを採用、駆動電圧は現在の2.5Vから1.2Vへ、パッケージもBGAへ移行)になる予定になっている。
[長浜和也, ITmedia]
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