News:アンカーデスク 2003年12月8日 10:10 AM 更新

デジタル放送時代の正しいビデオレコーダー学(1/2)

いよいよ地上波デジタル放送がスタートした。そこで悩むのが、われわれ庶民はいつ対応機器を買えばよいのか、という点である。いくつかの点から、その「答え」を筆者なりに導き出してみた。
顔

 先週から地上波デジタル放送がスタートしたが、ご覧になっている方はいるだろうか。筆者の住む地域は、残念ながらというか当然ながら受信可能エリアではないので(あんな狭い範囲じゃなー)、いつもどおりのアナログ地上波しか見られない。筆者は“放送される番組”を作ったが、実はまだデジタル放送された画質そのものを確認していないというマヌケな状態なのである。

 さて、これから平成23年7月24日までの約8年間かけて、地上波放送が徐々にデジタル化していくわけだが、われわれ一般市民の切実な問題として、これに対応した機器をいつ買うのが正解か、という難問を突きつけられた。模範的解答としては、お住まいの地域が受信エリアになったとき、ということになるだろう。しかし最近の家電売り場の状況を見て、どこかちぐはぐなところを感じないだろうか。

 この年末商戦の目玉は、やはり大型フラットテレビとビデオレコーダーということになる。しかしテレビはデジタル放送対応をうたいながら、ビデオレコーダーのほうは今ひとつデジタルに対するかけ声がはっきりしない。デジタル放送に対応しているのか対応していないのか、バシッと言い切った感じではなく、「一応内部的には対応している部分もあったりなかったりして。今後の将来的な展望を鑑みつつイワシの頭」ってな具合で、どうも煮え切らない。

 それもそのはずで、NHKと民放連から地上波デジタル放送のコンテンツすべてにコピーワンスのコピー制御がかかることが発表されたのが、11月17日。もちろん各メーカーに対してはそれ以前から通達があったはずだが、とにかく放送が始まってみないことには、録画機のフィールドテストができないこともあって、ちゃんと対応しているのか否かがなかなか発表できないでいる、というところだろう。

いつ乗るか

 気の早い人は、アナログ放送がなくなっちゃうから急いでデジタル化しなきゃ、と思っているようだが、筆者はその考えにはあまり積極的に賛成できない。

 筆者はこう思う。デジタル放送が始まっても、焦ることはない。家庭内のデジタル化は、ゆっくりアナログの便利さを存分に享受してからでも遅くはない。

 こう考える理由はいくつかある。まず、多くの人が考えるデジタル放送の本当のメリットは、HDTV放送だ。だが放送を出す側としては、NHKは別として、民放のHDTV放送本格化は、おそらく来年の秋以降になるのではないかと見ている。それまではHDTVサイズで放送は行なわれるかもしれないが、多くの番組はSDTV作品をアップコンバートしてHDTV化した、いわゆる「なんちゃってHD放送」になるだろう。

 そう言う根拠は、現状の放送をフルにHD化するには、HD編集システムの数がそろわないからである。現状HDの編集システムの多くはリニア方式、つまり編集機があってVTRがあってスイッチャーがあって、という、編集スタジオスタイルだ。一部にはハイエンドワークステーションを使ったノンリニアシステムも存在するが、それらで普通の番組を制作するには、あまりにも高価である。

 現在SDTV番組の多くが、パソコンレベルのノンリニア編集システムに依存している。低コストで構築でき、場所もとらない。また編集効率もいい。腕さえあれば、機材の質は問われない。そんな現状であるから、HDTVになったからといって、巨大な設備投資が必要なリニア編集システムが、また番組制作の中心になるとは思えない。いや、もしそうなってしまったら、編集費が制作予算を圧迫して、倒産する制作会社も出てくることになりかねない。

 HDが編集できるノンリニアシステムは、ようやく現実が見え始めてきたところだ。先月幕張で開催された国内最大の放送機器展「InterBEE2003」でも、いくつかの実働システムを見ることができた。だがまだまだコンシューマー的部分を多く残しており、プロ用とは言い切れない。

 プロ用途で定番となりうる製品は、おそらく来年4月にアメリカで行なわれる世界最大規模の放送機材展「NAB2004」にてプロトタイプの発表、といったタイミングになるだろう。そして実際にそれらの製品が納品されてくるのが来年秋ぐらい、遅ければ2005年にずれ込むと見ている。民放各局でちゃんとしたHDTV放送が本格化するのは、そのタイミングということなんである。

HDTVレコーダの買い時はまだまだ先

 ちゃんとしたHDTV放送が始まらなければ、あわててHDTV対応レコーダを買う必要はないのではないか。現時点でHDTVがそのまま録画できるのは、D-VHSとソニーのBlu-ray Discレコーダー「BDZ-S77」だけだ。技術的に枯れたD-VHSは現実的な選択だが、「テープって頭出しに時間がかかるし編集もできないしかさばるしで大変でしょ、だからDVDに乗り換えましょ」と先頭で旗振ってきた筆者としては、その舌の根の乾かぬうちに今更テープメディアには行けないのである。

 そうなるとHD記録可能なディスクメディアに期待がかかる。

[小寺信良, ITmedia]

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