News:アンカーデスク | 2003年12月11日 05:37 PM 更新 |
NVIDIAのカンファレンスでNVIDIAの開発サポート体制を絶賛
Pitchford氏は、NVIDIAによる開発サポート体制の優秀さについても触れてくれた。
「我々はHALO PCの移植において、GPUベンダーが提供してくれるサポートに多くを期待していなかった。ところが、NVIDIAは我々に自社のハードウェア(ビデオカード)をその膨大な情報とともに提供してくれたし、ソフトウェア開発そのものにも協力してくれた」
これは、9月末にサンフランシスコでATIがRADEON 9800XT/9600XTを発表したとき、「Half-Life2」の開発元であるValve Software社長Gabe Newell氏が「ATIの開発サポート体制はこの上なく素晴らしいものだった。どこかのように(筆者注:暗にNVIDIAを指している)、わけの分からないプロパガンダキーワードを連呼させられるのとは違う」「Half-Life2はRADEON 9800XT/9600XTで動かすのが最も適しているのだ」と発言したことに対する反論ととも取れる。
「NVIDIAはGeForce FX 5900 Ultraを我々に提供してくれたので、HALO PCは、そのGPUを搭載したマシンで開発を進めていった。また、NVIDIAは、我々のグラフィックエンジン上のシェーダ・エフェクトのいくつかの開発を行ってくれた」(Pitchford氏)
NVIDIAが実際のゲームエンジンに自らシェーダを書き下ろす……、というのは、HALO PCのケースが初めてではなく、このようなケースが過去にもあったことは有名な話だ。
例えば、EAの3Dゴルフゲーム「TIGER WOODS PGA TOUR 2003」や、Bethesda Softworks の「The Elder Scrolls III:Morrowind」で使われている水面シェーダが、NVIDIAのGreg James氏によって書かれたことは、ゲーム業界で広く知られている。
いまだ発売時期が見えない「DOOM III」も、その描画エンジンの開発支援のためにNVIDIAの技術者が派遣されているし、電撃的に発売が延期された「Half-Life2」にしても、この延期期間中にNVIDIAの全面的な技術支援のもと、GeForce FX 最適化パスが新設される見込みだ。
ただし、HALO PCにおいて、どのビジュアルがNVIDIA制作のシェーダによって実現されているかは明かされていない。Pitchford氏は「NVIDIA側が制作したシェーダプログラムは非常によく動いてくれて、HALO PCのビジュアルをより素晴らしいものにしてくれた。赤い会社(筆者注:ATIのこと)のビデオカードでも、ちゃんと動作しているし(笑)」と語ったのみだった。
NVIDIAの提供したシェーダがATIのGPUでも動く……、ということは、現時点ではGeForce FXシリーズでのみサポートされている「プログラマブルシェーダ2.0“+”」がHALO PCでは使われていないと考えていいだろう。
それでは、逆にATIからの開発サポートに関するオファーはなかったのだろうか。または、ATIのハードウェアは開発に使われなかったのだろうか。こんな疑問も浮上してくる。
「ATIも我々のパートナーなのでサポートはあった。ただし、彼らのサポートはNVIDIAとは違ったものだった。“そのサポートがどう違ったのか”とか、“どちらのサポートがよかったのか”ということについては(我々はATIとの関係も大事にしたいので)いえない」
「開発当初、Direct X 9世代のGPUはATIしかなかった(筆者注:RADEON 9700のこと)ので、最初はATIのGPUで開発を進めていた。ただ、開発が進むにつれてNVIDIAに(筆者注:GeForce FXシリーズのこと)移っていった」(Pitchford氏)
このような感じで、Pitchford氏の発言は、一方的なNVIDIAの持ち上げに徹し切れていない。筆者が想像するに、発言しているのがNVIDIA主催のカンファレンスの壇上なので、ATIに配慮しつつNVIDIAを「よいしょ」した……、というのが実際のところだろう。
GeForce FX系とRADEON 9500オーバーでは表現が違う部分もある
HALO PCの開発後期ではGeForce FX 5900 Ultraを使って作業が行われたということだが、実際にDirect X 9世代のGPUである「GeForce FX 5950 Ultra」と「RADEON 9800 PRO」でHALO PCを動かしてみると、いくつかの場面で描画の違いに気が付いた。
[トライゼット西川善司, ITmedia]
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