PCI Express対応チップセット「Intel 925X」「Intel 915G/P」ようやく正式発表
すでに、店頭ではインテルから「正式に」販売が認められているPCI Express対応チップセットが正式に発表された。この先10年のプラットフォームを左右する大きな変革がいよいよスタートする。
PCI Express対応だけでない「Intel 925X」「Intel 915 G/P」の新機能
インテルは、PCI Expressに対応したチップセット「Intel 925X Express」(以下 Intel 925X)「Intel 915G Express」(Intel 915G)「Intel 915P Express」(以下 Intel 915P)を日本時間の6月22日に正式発表した。価格は1000個ロット出荷時の価格で、Intel 925Xが5720円、Intel 915Gが4690円、Intel 915Pが4230円。
Intel 925XとIntel 915G/Pはともに、DDR2-533とPCI Expressといった、新しい規格に対応した新世代チップセットともいうべき製品。インテルも「10年に一度の抜本的な変革をもたらす」と新しいチップセットを評価している。
ハイパースレッディングテクノロジーに対応したFSB 800MHzサポートは従来のままだが、メモリバスはDDR2-533をデュアルチャネルでサポート。従来のPC3200にも対応している。ATAインタフェースも、4ポートのSerial ATAに対応。こちらも従来のパラレルATAをサポートするが、1ポートのみの対応となっている。
最も大きな特徴ともいえるPCI Expressは、ディスクリートグラフィックスカードに使われるPCI Express×16と、四つのPCI Express×1をサポート。これまでグラフィックスカードのインタフェースとして使われてきたAGPはIntel 925X、Intel 915P/Gでサポートされない。PCI Express ×16では、AGPで共有していたアップストリームとダウンストリームのデータバスが、それぞれ独立して用意される。そのため、従来のAGP 8Xでは最大帯域2Gバイト/秒であったが、PCI Express ×16では双方向で8Gバイト/秒と大幅に向上する。
新規格バスアーキテクチャのサポート以外にも、Intel 925XとIntel 915G/Pでは、「Performance Enhancements」「Intel Matrix Storage Technology」「Intel Wireless Connect Technology」「Intel Graphics Media Accelerator 900」など、新しい機能が採用されている。
Performance Enhancementsは、Intel 925Xのみでサポートされる機能で、メモリバスを流れるデータストリームに「Maintenance Command」を発行することで、効率的にデータアクセスができるようにメモリ内におけるデータの再配列を行う機能。メモリアクセスの効率を向上させてパフォーマンスを改善する機能だが、Intel 875Pで採用されていたメモリアクセラレーション的機能とは性格が異なる、とインテルでは説明している。
「Intel Matrix Storage Technology」は、HDDにおけるデータの保護やデータアクセスのパフォーマンスを向上させる技術。サウスブリッジにICH6Rを組み合わせることで、データの格納位置を把握し、データキューのときに最も効率よく読み込める順序でデータにアクセスしたり、一つのRAIDシステムの中に、RAID 0とRAID 1の領域を動的に割り当てられるようになる。
Intel Wireless Connect Technologyは、ノートPC向けのCentrinoと同様、無線LANをデスクトップPCでも使えるようにしたもの。サウスブリッジにICH6Wを組み合わせることで、IEEE 802.11b/gが利用可能になる。
Intel Graphics Media Accelerator 900(以下Intel GMA 900)は、Intel 915Gのみでサポートされる内蔵グラフィックス機能。従来のIntel Extreme Graphics 2では、ハードウェアによる3Dアクセラレーション機能がサポートされていなかったので、実質的に3Dゲームが動作しない状況にあったが、Intel GMA 900はDirect X 9をハードウェアでサポートする。
このほか、Pixel Shader 2.0、Open GL 1.4にもハードウェアで対応(Vertex Shaderはソフトウェアでサポート)。コアクロックは333MHz、ビデオメモリはメインメモリを共有するため、DDR2-533を利用した場合、最大メモリ帯域は8.5Gバイト/秒と高速なデータ転送が可能になる。
機能/性能の比較 | Intel Extreme Graphics 2 | Intel GMA 900 |
Direct X Hardware Acceleration | Direct X 7.1 | Direct X 9 |
Pixel Shader | 非対応 | Pixel Shader 2.0 |
Vertex Shader | 非対応 | ソフトウェア対応 |
Transform & Lighting | ソフトウェア対応 | ソフトウェア対応 |
Shadow Maps | 非対応 | ハードウェア対応 |
Volumetric Textures | 非対応 | ハードウェア対応 |
Slope Scale Depth Bias | 非対応 | ハードウェア対応 |
Two Sided Stencil | 非対応 | ハードウェア対応 |
コアクロック | 266MHz | 333MHz |
Pixel Pipes | 1/clock | 4/clock |
Single Textyre Fill Rate | 266MT/s | 1.3GT/s |
Display Pipes | Single | Dual Independent |
ビデオメモリ(最大) | 64Mバイト | 244Mバイト |
最大メモリバス帯域 | 6.4Gバイト/秒 | 8.5Gバイト/秒 |
LGA775対応Pentium 4の6機種も同日発表
インテルは、新しいパッケージ規格「LGA 775」に対応したCPU「Pentium 4 Extreme Edition/3.4GHz」「Pentium 4 560」「Pentium 4 550」「Pentium 4 540」「Pentium 4 530」「Pentium 4 520」も同日発表した。それぞれの動作クロックと1000個ロット出荷時の価格は次のようになっている。
Pentium 4 Extreme Edition/3.4GHz | 3.40GHz | 11万4200円 |
Pentium 4 560 | 3.60GHz | 7万2820円 |
Pentium 4 550 | 3.40GHZ | 4万7670円 |
Pentium 4 540 | 3.20GHz | 3万1780円 |
Pentium 4 530 | 3GHz | 2万4920円 |
Pentium 4 520 | 2.80GHz | 2万350円 |
LGA775対応のPentium 4は、ピンを使わないため電気特性が向上し、高クロックの実現が容易になっているとインテルは説明している。
基本的アーキテクチャはPrescotteコアPentium 4と同様で、90ナノプロセスルールを採用し、1MバイトのL2キャッシュを搭載する。今回登場したCPUはすべてハイパースレッディングテクノロジーをサポート。PrescottコアPentium 4から実装されたSSE3も同じくサポートする。
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