速報
ACCS不正アクセス事件裁判、一部非公開に
ACCSのサーバ管理元役員が証人として出廷。「自社のサーバ構造などを公開法廷で話すと、サーバを狙い打ちにした不正アクセス行為を誘発する」ため、非公開に。
コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の個人情報流出事件で、不正アクセス禁止法違反で起訴された元京都大学研究員(40)の第2回公判が6月30日、東京地裁で開かれた。
検察側証人として、ASK ACCSのサーバ管理元・ファーストサーバの常務取締役で、元研究員が個人情報入手に使ったCGIスクリプトを作成した森川裕和技術本部長が出廷した。森川技術本部長は「自社のサーバ構造などを公開法廷で話すと、サーバを狙い打ちにした不正アクセス行為を誘発する」と主張。「公の秩序又は善良の風俗を害する虞がある」(憲法第82条)と認められ、傍聴人を退廷させた上で非公開で証言した。
また、冒頭陳述で弁護側は、「元研究員がアクセスした領域にはパスワード認証などアクセス制限がなく、不正アクセスにはあたらない」と繰り返し主張。「個人情報を取得して公開したことに対しては、倫理的にはさまざまな意見があるだろうが、倫理的評価と不正アクセス禁止法違反とは関係がない。これを有罪とするのは、刑法で禁止されている類推解釈にあたる」とした。
さらに、「倫理面の問題は、法改正で解決できる。元研究員を無罪とすることで、社会に対する悪影響はない」とし、「有罪になった場合、Webサイトの脆弱性を指摘するボランティアを萎縮させ、問題あるサイトの存在を許すことにつながる」と訴えた。
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