「PDP独自技術で韓国企業には負けない」――松下の中村社長
松下電器の中村社長は、「プラズマTVは画質でも価格でも韓国企業に負けない」と明言。生産能力増強などによりコスト効率を高めるため、価格が低下しても十分な利益を確保できると自信を示した。
「デジタル家電の価格は下がっても、松下の利益率は下がらない」――松下電器産業の中村邦夫社長は1月11日、2005年の経営方針説明会で、強気の発言を繰り返した。
「VIERA」が好調のプラズマTV事業は今後も収益の柱に据える。東芝、日立製作所との合弁企業で生産する液晶パネルも、高画質化技術やコスト効率の高さで、先行するシャープなどに十分張り合えると自信を見せる。DVDレコーダーやデジタルカメラの価格低下も、同社の利益率ダウンにはつながらないとした。
同社プラズマTVの国内シェア(2004年10、11月)は43%。世界市場ではSamsung ElectronicsやLG Electronicsなど韓国企業の追い上げが目覚しいが「画質や画作り、低消費電力、フルHD化といった技術では絶対に負けない」と中村社長の自信は揺るがない。
価格面でも韓国企業に負けないという。製造工程などでコスト削減を進めるほか、11月からの操業予定の尼崎工場(兵庫県)で生産能力を一気に増強。コスト効率を飛躍的に高める。「プラズマTVは利益を出しながら価格を下げることができる。2005年度からしっかり儲かる」。
ソニーがPDPから撤退するとの報道について聞かれると、「よその戦略に右往左往されることはない」と一言。薄型TV全般に関して「組み立てだけをやっているメーカーはつぶれるが、ブラックボックス技術を持っている松下は競争に勝てる」と自信を見せた。PDPをめぐっては昨年、特許をめぐってLGとの紛争が起きたが、これも松下がデジタル家電関連技術を利益の源泉として最重要視する姿勢の現れだ。
DVDレコーダーやデジタルカメラなど、デジタル家電の価格下落が利益率を圧迫する懸念があるが、中村社長は「そうは思わない。杞憂だ」とキッパリ。システムLSIなどブラックボックス技術を社内にかかえて付加価値の高い独自機能を追求。“強い商品”に資源を集中し寡占状態を作り出し、利益なき繁忙を回避する作戦だ。
製品の付加価値を高めるため、2005年は製品間連携も進める。例えばDIGAで録画した動画やデジタルカメラ「LUMIX」で撮影した静止画をSDメモリーカードに保存し、VIERAや携帯電話、カーナビで再生するといったモデルを示した。
「第6世代工場でもコスト効率は十分」
液晶TVでは、同社と東芝、日立製作所の合弁であるIPSアルファテクノロジが第6世代サイズのマザーガラスを使ったパネルを2006年度第2四半期以降に生産開始する計画だ
だが他社はより大きな第7世代、第8世代への対応を始めている。Samsungとソニーの合弁会社・S-LCDは第7世代パネル工場を今年上期から操業開始(関連記事参照)する予定。シャープは基幹の亀山工場(三重県)に大規模投資を行い、第8世代に対応する計画が明らかになっている。
松下・東芝・日立連合が対応する第6世代は、第7、8世代に比べるとコスト効率が低いように思えるが、「IPSで作るのは26型と32型が中心。同じサイズをたくさん作るのだから、コスト力は出る」。第6世代は26、32型製造に最適で、マザーガラスのサイズアップは現時点では不要との見解だ。画質面でも「IPSは視野角の広さ、応答速度の速さなど、きわめてTV向きだ」とし、他社に負けないとした。
携帯電話事業の収益力は回復しつつあるという。本年度上半期、携帯電話の営業利益は前年同期比8割減だったが、「収益減の主な原因は海外での端末回復の遅れ。すでに改善している」。国内ではFOMAの需要が伸びるほか、2006年にかけて1セグ放送受信機能付き携帯電話などを発売する計画だ。
下期の逆風は倹約令で乗り切る
オリンピック効果で好決算を計上した2004年度上期に比べ、同下期の経営環境は厳しい。原油高・材料高・円高というトリプル高の直撃を受け、2005年度上期まで厳しい状況が続くと見ている。
これを乗り切るために、より一層のコスト削減に取り組み、2005〜2006年で年間各600億円のコスト削減を計画する。「あらゆるコストを削減し、2005年度は売上高営業利益率をなんとか4%以上にしたい」。
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