フジ株借り受け「孫さんには話していない」――SBI北尾CEO
フジテレビの筆頭株主に躍り出たソフトバンク・インベストメントの北尾CEOは、今回の決定はソフトバンク本体と無関係と説明した。フジテレビをライブドアから守る「ホワイトナイト」になるつもりもないという。
3月24日にソフトバンク・インベストメント(SBI)がフジテレビ筆頭株主になった件で(関連記事参照)、同日都内で会見したSBIの北尾吉孝CEOは「ソフトバンク本体には関係ない決定。孫さん(ソフトバンクの孫正義社長)にはまだ話していない」と、SBI単体で判断した純粋なビジネスだと強調した。また「ホワイトナイトになるつもりはない」とし、フジテレビの経営権取得争いに参戦する意図はないと話した。
北尾CEOによると、今回のニッポン放送が保有するフジテレビ株の消費貸借契約は、あくまで投資ファンドの円滑運用に向けた“保証金”という位置付けだ。同社は同日、フジテレビ、ニッポン放送と共同で、200億円規模のベンチャーキャピタルファンドを設立すると発表しており、「放送という未知の領域にリスクを取って踏み込むにあたり、株式というある種の“人質”を取った」と説明する。
SBIはファンド設立へ以前から出資企業を探しており、「日本テレビなどにも声をかけていた」。フジテレビ、ニッポン放送と今日になって話がまとまり、発表したという。
フジ筆頭株主になったものの、同社に役員を送り込むなど経営に関与する意図はなく、敵対的買収を仕掛けられた会社を友好的買収で救う「ホワイトナイト」になるつもりもないという。「結果的にホワイトナイトに見えるかもしれないが、意図しているわけではない」。
ライブドアとフジテレビ、ニッポン放送の経営権取得争いに関しては、「当事者になったという意識はない」と前置きした上で、「M&Aが分かっていない。M&Aは、黙って進めるもの。どうしてお互いにこんなにしゃべっているのか分からない」とチクリ。
さらに「ライブドアのやり方は、他人の家に土足で上がり込んで『仲良くしようや』と言っているよう。アメリカの例を見ても、敵対的買収はなかなか成功していない」とコメントした。
また「ニッポン放送の上場廃止はまずいし、何らかの大人の方法で解決すべきだろう」と話し、両社の争いを終結させる“知恵”を持っているとしたが、具体案は明らかにしなかった。
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