フラッシュメモリが値下がりへ――Samsungの新型チップ投入で
Samsungが最先端の70ナノメートルプロセスを使ったNAND型フラッシュの製造を開始した。これを受けてフラッシュチップは年末までに半値に、来年末にはさらに半値になる可能性がある。(IDG)
韓国のSamsung Electronicsは、高度なプロセスを採用した初のNAND型フラッシュメモリチップの製造を開始した。これは、年末商戦にコンシューマー向けメモリカードの価格を引き下げる一助になるだろうとアナリストらは考えている。
同社は5月30日、フラッシュメモリ業界では最先端の70ナノメートルプロセスでメモリチップを製造開始したことを明らかにした。
フラッシュメモリチップは電力の供給がオフになってもデータを保持する。NAND型フラッシュメモリは、一般にメモリカードやMP3プレーヤーなどで使われている。
70ナノメートルプロセスは、NAND型フラッシュを含む多くの半導体製品でよく使われている90ナノメートル技術よりも1段階進んでいる。このプロセスで製造されたメモリチップは業界標準の90ナノメートルプロセスで製造されたものよりも小型で高速で安価だと、市場調査会社IDCの半導体調査プログラムディレクター、キム・スーキョウム氏は語る。
この新プロセスの採用により、既に世界最大のNAND型フラッシュメーカーとなっているSamsungは、1枚のウエハーから切り出せるチップの数を従来よりも50〜60%増やせるだろうと同氏は説明する。
Samsungの広報担当パーク・サン氏は、年内に同社のNAND型フラッシュの約3分の1が70メートルプロセスで製造されることになると語っている。
Samsungは3月末時にNAND型フラッシュ市場で約60%のシェアを持ち、世界2位の東芝はおよそ25%のシェアを有していた(IDC調べ)。
両社はより高度な技術を使って積極的に生産を拡大しており、Samsungの今回の動きは特に、フラッシュメモリチップの価格を押し下げるだろうとサン氏は話す。
Samsungは年内に、ウエハー生産量を月産およそ24万枚から29万枚に引き上げる計画だという。
東芝のウエハー生産量は現在およそ月産9万5000枚、完成したばかりの工場を利用して、年内に約20%増産する予定だと同社の広報担当マコト・ヤスダ氏。
現時点では、NAND型フラッシュの生産量は需要とほぼ一致している。しかし、Samsungがこれまでよりも安価なチップを増産すれば、年末に向けて供給過剰になるはずだとキム氏。
一般的に使われている2ギガビットNANDチップは、12月までに現行価格の半値の7ドル程度に値下がりする可能性がある。増産に踏み切るメーカーが増えれば、来年末にはさらにその半値に値下がりするかもしれない。
それにより、メモリカードの小売価格は年末には今より20%安くなっているかもしれないとキム氏。
「これは戦争だ……メモリカードはもっと安くなるだろう」(同氏)
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