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Pilot発売10周年を迎え、岐路に立つPalm

「Pilot 1000」発売から10年。意に沿わぬ買収や宿敵Microsoftとの提携と、波乱の道を歩んできたPalmの未来は、スマートフォンにかかっている。

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eWEEK

 2005年3月に4年のブランクを経てPalmの幹部として復帰したとき、マーク・バーコウ氏は同社がかつての敵と協力関係にあることを知った。Palm OSを出した同社が、MicrosoftのOS、「Windows Mobile」対応のデバイスを発表しようとしていたのだ。

 「Microsoftとのこの提携関係を知ったわたしのショックと恐怖を察してもらえるだろうか」とPalmのビジネス開発担当上級副社長であるバーコウ氏は語る。「だが、それがやるべきことだったのは明白だった。(1月に発表されたTreo 700wを)Windows Mobileベースにしたことで、われわれはそれまで存在しなかった市場を狙う機会を得た」

 そう、Palm Computingが最初の製品「Pilot 1000」を発売してから10年たった。この10年はPalmにとって、経営上の決定の失敗やうまくいかない買収、携帯電話企業との競合など、波乱に富んだものだった。

 ジェフ・ホーキンス氏とドナ・ダビンスキー氏は1992年1月、未来のパーソナルコンピューティングはモバイルだという発想の下、Palm Computingを設立した。同社の最初の取り組みは、日本の電子メーカー、カシオ計算機との共同プロジェクトだった。「Zoomer」と名付けられた製品は、Appleの「Newton」と競合するものと目された。Newton同様、Zoomerも失敗に終わった。その後、1995年にモデムメーカーのUSRoboticsに4400万ドルで買収されたときには、Palmはほとんど無一文だった。

 Palm Computingは1996年、Pilot 1000というポケットサイズのコンピュータを発表した。このデバイスはPalm OSというシンプルなOSと、Graffitiと呼ばれる手書き認識プログラムを搭載していた。Pilot 1000は18カ月経たぬうちに100万台以上売れ、成功したハンドヘルドコンピュータ産業が誕生した。その間、USRoboticsは3Comに買収された。

 ホーキンス氏、ダビンスキー氏、エド・コリガン氏は1998年、Handspringを創設した。同社はスマートフォン「Treo」を生んだ。2003年、PalmはHandspringを買収した。

 3Comが指名したCEO、カール・ヤンコウスキ氏の時代は、Palmにとって厳しいものだった。同氏は2001年に辞任した。「(3Comによる経営は)Palmをほとんど崩壊させ、同社は業界トップの座を失った」とGartnerのアナリスト、ケン・デュラニー氏は言う。

 Palmは2001年、モバイル端末向けのミドルウェア提供企業のExtended Systemsを買収する意向を発表したが、交渉は失敗に終わった。その後PalmはThin Air Appsを買収し、同社のサーバソフトをPalmブランドのTungsten用ミドルウェアに組み込むと発表した。2003年、同社はTungsten Mobile Information Management Serverに関する計画を中止した。

 現在のCEOはPalmの古参社員であるコリガン氏で、幹部らはエンタープライズソフトのサポートは提携にかかっていると言う。バーコウ氏によると、Palmは2006年末までに、Research In Motion(RIM)のBlackBerry Enterprise ServerにTreoを接続するソフトを提供するという。Palmは現在も従来のPDAを販売しているが、同社の未来は主にスマートフォンにあると幹部らは語る。

 Palmは今年、Treo 700w以外に3機種の製品を発表する計画だ。そのうちの1機種は高速UMTSネットワークに対応する予定だと、同社のワールドワイドマーケティング担当上級副社長、ケン・ワート氏は述べた。同社は各国キャリアの要求に応えるため、引き続きWindows Mobileをサポートするが、Palm OSのサポートも続けるという。

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