お金は「Web1.0」で動くが……
「Web2.0」というキーワードが流行し、ブログやSNSなどユーザーが発信するメディアに注目が集まっているが、「実際にお金が動いているのはWeb1.0的な世界」という。
「Web2.0」というキーワードが流行し、ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)など、消費者が情報発信するCGM(Consumer Generated Media)に注目が集まっているが、ネットレイティングスの萩原雅之社長は「実際にお金が動いているのはWeb1.0的な世界」と語る。
例えば、ここ2年で躍進したSNS「mixi」も、ビジネスモデルは既存メディアと同じで「Web1.0的」という。「ユーザーの中心であるM1(男性20〜34歳)、F1(女性20〜34歳)層を意識した広告が目立つ。ターゲットを定めてアクセスを集めるのは、従来の広告ビジネスの王道」。一部のユーザーに課金するというビジネスも、目新しくはない。
ユーザーを急速に伸ばしたGyaOのビジネスモデルも、「アクセスを集め、ユーザーに広告を見せる、というトラディショナルなもの」。ネット広告を出稿する広告主も、人材やキャッシング、通信、自動車などマスを相手にしたものがシェアの多くを占める。
コンテンツ別、年齢層別に、利用時間帯ピークが異なることもはっきりしてきた。「時間帯別に異なる広告を配信する、テレビのようなモデルが注目されている」といい、ネットがマス化するにつれ、旧来のマスメディアと同じ手法が役立つようになってきたと、萩原社長は指摘する。
“Web2.0ビジネス”の可能性
「ビジネスでWeb2.0、というのは正直、難しいというのが実感」と萩原社長は語りつつ、個人が情報発信する“Web2.0時代”に合わせ、従来とは異なるマーケティングの枠組みを紹介する。例えば、電通が提唱する「AISAS」。従来の購買行動の枠組み「AIDMA」(Attention:注意→Interest:関心→Desire:欲求→Memory:記憶→Action:購入)に対応した新たな枠組みだ。
AISASの要素は「Attention:注意→Interest:興味→Search:検索→ Action:行動→Share:共有」で、検索と共有が加わっている点がミソ。何かに関心を持つとまず検索し、気に入ればそのままECサイトなどで購入。その後ブログやSNSでレビューするなどして、情報を発信・共有し、口コミで新たな購買が刺激される――というサイクルだ。
このサイクルのもとでは、SEO(検索エンジン最適化)や、良質な口コミ情報の集積、タグなどによる情報の整理が価値を持つ。「mixiも今後、サイト内に集まった口コミ情報を整理し、お金に変えていく仕組みを作るのではないか」
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