「OSの収益性ではAppleがMSより一枚上手」とアナリスト
Windowsの新版リリースの間隔は平均で2年強。一方Mac OSは約1年に1回の頻度で新版がリリースされている。また、AppleはMicrosoftがVistaのリリースに5年もの歳月をかけているという状況も有利に活用している。
OS事業の収益性を最大限に高めるという点では、より頻繁に、少し高めの価格でOSの新版をリリースしている米Apple Computerの方が、ライバルのMicrosoftよりも一枚上手だ――。
これは、調査会社Piper Jaffrayの上級アナリスト、ジーン・マンスター氏が8月28日に発表した新しい分析リポートで指摘している結論だ。
Appleは2001年以来、約1年に1回の頻度でOS新版をリリースしている。こうした新版の価格はフルバージョンが129ドル、アップグレードが107ドルだ。
一方、MicrosoftがWindowsの新版をリリースする間隔は平均で2年強となっている。平均価格はフルバージョンが114ドルで、アップグレードが48ドル。
マンスター氏によれば、その結果、Appleの方がMicrosoftと比べて、より上手に収益性を高められている。Appleは製品をより迅速に市場に投入し、若干高めの価格をつけることで、自社製品に対するユーザーの熱意をうまく利益につなげることができているからだ。
さらに同氏によれば、Appleユーザーは最新版のOSにアップグレードするためであれば毎年の出費も厭わず、また、AppleはiChatや検索技術のSpotlightなどの新機能を顧客にアピールするためのマーケティング手腕にも長けている。
「AppleのOS価格戦略は、同社の全体的な戦略と一致している。つまり、AppleユーザーはAppleプラットフォーム用に構築されたハードウェアとソフトウェアのためであれば、割高の料金を支払うことを厭わない。そのため、Appleは利益幅を拡大できる」とマンスター氏。
また、Appleは自社OSの新版をほぼ毎年リリースし続けることで、MicrosoftがVistaのリリースに5年もの歳月をかけているという状況も有利に活用している。
また一方では、Intelプロセッサ搭載のデスクトップPCとノートPCのおかげで、AppleのMacintoshシリーズも復活を遂げている。
「Appleは周辺機器の販売とOSの頻繁なアップデートを介して、競合他社よりも高い顧客単価を実現している。それを考えれば、同社にとって、Macの市場シェアの拡大は単にMacの売り上げ増以上の意味がある」とマンスター氏。
同氏の分析では、2001年3月1日以降にリリースされたApple OSのすべてのバージョンと、Microsoftが1998年6月25日以降にリリースしたすべてのWindowsとが比較されている。
MicrosoftはVistaを2006年中にリリースする予定だ。一方、Leopardと呼ばれるAppleの新版OSは2007年上半期のリリースが予定されている。
関連記事
- Windows Vistaはどれだけ「遅い」か?
Windows Vistaの性能は、ほとんどのハード構成では期待外れかもしれない。Vistaの基本メモリ構成は512Mバイトだが、本当に使える基本レベルは2Gバイトだろう。 - それは秘密です!?――次世代Mac OS X “Leopard”の新機能に迫る
WWDC 2006でついに姿を見せた次世代Mac OS XのLeopard(開発コード名)。その全容は“TOP SECRET”としながらも、いくつかの新機能が公開された。 - Windows Vista特集
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.