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それは秘密です!?――次世代Mac OS X “Leopard”の新機能に迫るWWDC 2006レポート(1/3 ページ)

WWDC 2006でついに姿を見せた次世代Mac OS XのLeopard(開発コード名)。その全容は“TOP SECRET”としながらも、いくつかの新機能が公開された。

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 こちらの記事でお伝えしたとおり、8月7日(現地時間)から米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されているWorldwide Developers Conference 2006のオープニングキーノートで、Intel Macの新製品となる「Mac Pro」「Xserve」の発表と同時に、来年登場予定の次世代Mac OS X “Leopard”(日本語読みでは「レオパルド」、英語読みでは「レパード」)のスクリーンショットが一般に初めて公開された。ここでは、このLeopardにフォーカスを当て、キーノートで紹介された新機能について見ていこう。

Windows Vistaを強烈に意識!?

photo Leopardのデモを行なうスティーブ・ジョブズCEO

 Mac OSとWindowsの類似性はよく指摘されるが、ことインタフェースに関して言えばその傾向は顕著だろう。Apple側はそれを利用して、Leopard用に「Vista 2.0」「Hasta La Vista Vista」といったキャッチコピーの広告キャンペーンを実施するなど、なかなか挑発的だ。キーノートの冒頭でも、現在MicrosoftがWindows Vistaの広告キャンペーンで使用しているCMのジョーク版を上映して、聴衆の笑いを誘った。

 Vista 2.0とは、来年2007年1月に一般向けのリリースが予定されているWindows Vistaのさらに次のバージョンという意味だ。キーノートスピーチで、ジョブズCEOは「MicrosoftがWindows Vistaで搭載する新機能の数々、それらはすでにわれわれが(現行バージョンの)Tigerの時点で導入しているものだ」というように、Leopardの先進性をアピールするためのキャッチである。一方の「Hasta La Vista Vista」は、映画ターミネーター2で主演のアーノルド・シュワルツェネッガーが放ったセリフ「Hasta La Vista(じゃあな)」をもじったものである。つまり「さらばWindows Vista」という意味だ。

 なかなかに挑発的な文句の数々だが、これは今のAppleの勢いを反映したものだとも言えるだろう。直近の四半期決算ではIntel Macの販売が好調で、過去2番目のセールス記録を樹立したという。初代iMacで大ブームを起こしたAppleだが、いまその波の第2弾が押し寄せようとしているかのようだ。Intel製CPUへの移行完了とLeopard登場という2つの要素は、これまで買い控えを起こしていたユーザーへの移行を促し、Appleをさらに盛り上げるための起爆剤となるのかもしれない。

photo いよいよ詳細が初公開されるLeopard(写真=左)と、歴代Mac OS Xの系譜(写真=右)。1年強のペースでコンスタントにバージョンアップが行われており、Intel版Tigerを合わせると6回を数える

photo 「Windows VistaはMac OS Xのマネだ」――実際に類似点をスクリーンショットを交えて解説する米Appleソフトウェアエンジニアリング部門上級副社長(SVP)のバートランド・サーレイ氏(写真=左)。「Windowsではレジストリ(写真=中央)やアクティベーション(写真=右)など、次世代のVistaになってもいまだに古いスタイルやユーザーに不自由を強いる機構が残っている」とサーレイ氏

photo 「Leopardには“Top Secret”となる部分が存在する」とジョブズCEOは語る

 さて、そのLeopardだが全体の概要は不明だ。「Leopardの情報はいまだ“Top Secret”だが、今回はその中で10の新機能のみを取り出して、皆さんに特別に紹介しよう」とジョブズCEOが述べたように、10の新機能のみが公開されている状態で、噂されている機能のすべてが実装されているかは推測の域を出ない。今回はその10の新機能をスクリーンショットを交えて追いかけていこう。

Mac OS X “Leopard”の新機能をチェック――その1

機能1――“完全な64ビット化”を果たす

photo Leopardでは、CarbonとCocoaを含むすべてのレイヤーで64ビット化が実現される

 Leopardの特徴の1つは、完全な64ビット対応だ。新製品として発表した「Mac Pro」では「クアッドコアの真の64ビットプラットフォーム」という点がセールスポイントとなっているが、それを活かすのがLeopardでの64ビット対応である。Mac OS XネイティブのCocoaのほか、Classicハイブリッド環境のCarbonの両プラットフォームが64ビット化されており、そのまま64ビットアプリケーションが利用できる。Mac OS XのベースとなっているUNIX環境も64ビット対応が行われているほか、従来の32ビットアプリケーションとも互換性を保ち、そのまま利用できるといった柔軟性を持つ。

機能2――“Time Machine”で自動的にファイルをバックアップ

 Leopardで導入された最大の目玉機能がTime Machineだ。Time Machineは自動バックアップ機能を搭載し、1時間ごとなどの単位時間でファイルの差分情報を刻々と記録していき、ユーザーの指示で好きなタイミングのファイル情報にいつでも戻すことができる(リストア)。HDD容量が許す限り、Leopardの初回起動時点まで無限に時間をさかのぼってリストア可能という。バックアップ(差分ファイル)は同一HDD内にも作成できるが、バックアップ本来の意味を考えれば、別のHDDや外部ストレージなどを利用するほうが望ましい。このようにTime Machineを使って常に自動バックアップを取り続けることで、人為的なミス、あるいは突発的な機械トラブルでファイルを失ってしまうことを防げる。

photo 思い出の写真の数々。もしもこれら思い出のピースの1つが突然失われたらどうなるだろうか
photo 恒常的にPCのバックアップをとる人の割合は、ユーザー全体の26%に過ぎないという
photo さらにバックアップの工程を自動化している人にまで絞ると、その割合はわずか4%に減る

photo 新機能のTime Machineは、Mac内のファイルなどを自動的にバックアップし、いつでも過去の好きなタイミングにさかのぼって、その状態のファイルを取り出すことができる(写真=左)。「Restore a la carte」とあるように、フォルダやドライブといったボリューム単位ではなく、個々のファイル単位に復帰作業が行える。Time Machineを有効に使うには、外部HDDドライブが必要だ(写真=右)。このようにすることで、本来の意味での(内蔵HDDがクラッシュした場合などの)バックアップとなる

 Time Machineで注目すべきは、その動作画面だ。ランチャーからTime Machineを呼び出すと、宇宙空間のような星が流れるアニメーションの背景が出現する。画面右端には時間軸のスライドバーが、画面中央部には何重にも重なったウィンドウが画面奥まで続いている。右のスライドバーを動かすとウィンドウが高速にスクロールし、過去のフォルダやファイルの状況を視覚的に確認することができる。このあたりのビジュアル効果は必見だ。

photo SFチックな背景を持ったTime Machineの動作画面。右側のスライドバーが時間軸に対応しており、これを動かすと画面中央部のフォルダが3Dで高速スクロールして、ビジュアル的にフォルダの過去の状態を確認できる
photo Time Machineによるファイル復旧のデモ。失われたファイルをスライドバーでさかのぼって探し、目的のファイルを発見した段階で復帰操作する
photo iPhotoなどの対応アプリケーションでは、Time Machineを直接呼び出せる。APIも公開されているので、今後の展開に期待が持てる

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