“テレビっ子”狙う新ロケフリ
家庭のテレビの映像を、外出先のテレビで見られるロケーションフリー新製品が登場した。PCマニア中心だったユーザー層を、テレビ好きに広げていく狙いだ。
ソニーは9月5日、家庭のテレビの映像を、ネット経由で外出先のPCなどで見られるシステム「ロケーションフリー」(ロケフリ)の新製品を発表した。新たに、テレビ映像を別のテレビに転送できる「TVボックス」をラインアップに加え、PCマニア中心だったユーザー層を、テレビ好きな一般層に広げる。動画圧縮形式にH.264(MPEG-4 AVC)を採用し、低ビットレートでも高画質に再生できるようにもした。
ロケフリは、家庭のアンテナ線やレコーダーを専用の「ベースステーション」に接続し、映像をネット経由で転送して外出先などからPCやPSPなどで視聴できるようにするシステム。
新製品は、ベースステーション「LF-PK20」(10月20日発売、実売3万3000円前後)と、TVボックス「LF-BOX1」(10月27日発売、同2万3000円前後)、PC用ソフト「LFA-PC20」(10月20日発売、同2000円前後)。
ベースステーションは新たにH.264を採用し、高圧縮でも高画質な画像を転送できるようにしたほか、セットアップを従来よりも簡単にした。
TVボックスは同社が「今回の目玉」(同社テレビ・ビデオ事業部の前田悟LFX事業室室長)と胸を張る自信作。リビングのテレビで放映しているスカパー!やCATVなどを、チューナーのない書斎のテレビに転送して見る、といった使い方を想定しているほか、ロケフリを使って海外などで日本のテレビを見る際に、PCなどに加え一般のテレビで見られるようになった(機能・スペックの詳細は関連記事参照)。
ユーザー層拡大へ
同社によると、ロケフリユーザーの95%が男性。年代別だと30代・40代がそれぞれ40%前後で、職業別で見ると技術職が最も多く(約36%)、次が管理職(約12%)だった。
TVボックスをラインアップに加えることで、一般のテレビファンにもユーザー層を広げたい考え。販売店では同社の液晶テレビ「BRAVIA」の隣に展示し、液晶テレビの購入を検討するユーザーに訴求していく。
ロケフリの原型は、2000年に発売された「エアボード」。当時はベースバンドとテレビがセットで10万円以上で、コンセプトは注目を浴びたものの、ヒットにはつながらなかった。
昨年9月、エアボードからロケーションフリーに名前を変え、テレビをセットから外してPCからの視聴に特化。価格を3万円台に下げた結果、予想以上の売れ行きを見せ、一時は販売が追いつかなくなった。その後PSPからの視聴を可能にしたほか、サードパーティーからMac OS X版のプレーヤーソフトなどが発売され、対応機器は着実に増えている。
今年に入ってロケフリと同じコンセプトの機器やPCソフトが、国内外で開発・発売されている。前田LFX事業室室長は「競合が出てくるということは、それだけマーケットが大きいと考えられている、ということ。みなさんと一緒にマーケットを作っていきたい。当社はこのコンセプトで長い間やっており、特許も多く持っている」と自信をのぞかせた。
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