「面白くないものが面白くなる」 ひろゆき氏が語る「ニコニコ動画」の価値(2/2 ページ)
ひろゆき氏が監修した、動画にコメントが付けられるサービス「ニコニコ動画」が人気だ。1日あたりのPVは約400万。普通の動画でも、コメントが付くだけで爆笑コンテンツに変身する。「面白くないものを面白くする」を売りに、ビジネス展開をもくろむ。
「でも、すでにYouTubeなりAmebaVisionに動画が載ってしまっていて、そこに載った映像は、権利者にとっては何の収益のもならない。だから新しい価値をぼくらが加えた上で、何かうまく収益になる形を作るという方がいいのではないか」
「YouTubeのようなものが今後なくなるかといえば、どんどん増えていくしかないと思うから、利益になるものを作る人たちと組まざるをえないのかな、という気がする」
お笑い芸人など、突っ込まれることがイメージ低下につながらないようなタレントのコンテンツなら利用してもらいやすいのでは、とひろゆき氏は考えている。
想定する使い方、想定しない使い方
お気に入り動画は、ファミコン版ドラゴンボール攻略動画。「子どものころ絶対クリアできなかったゲームを、18分でクリアしてる。でもこのゲーム、クリアできなくて当たり前だろと言うほどひどい作りで。しかもクリアしても何の感動もない。クリアできないゲームはこうなってた、と分かったし、「これ無理だろ」というツッコミがよかった
「面白くないものも、突っ込みを入れることで面白くなるんです。例えば、びっくりするぐらい面白くない芸人さんのネタ映像。テレビの観客は笑っているんだけど、その白々しさに腹が立ってくるから、みんなが怒りのコメントをぶつける。そのコメントがすごく面白い」
ニコニコ動画は、公開から半月も経たないうちに、1日400万ページビュー・1日あたりのユニークユーザー数は約10万に達する人気サービスになったが、ひろゆき氏にとってはまだ「ようやく普及し始めたかな」という段階だ。「日本人でYouTubeを見ている層の半分ぐらいまではいってもいいかな、と思っている」
「YouTubeはインタフェースが英語だから、英語に慣れていない人には面白いものをどう探すか分からない。ニコニコ動画なら『YouTubeの中で日本人的に見て面白いランキング』になってる」
ひろゆき氏が当初から期待していた使い方がある。YouTubeで流行している英語映像の翻訳・解説だ。「『これはこういうふうに言ってるから面白い』と分かると嬉しい」。だがまだ、そういった投稿はないようだ。
時間を区切ってコメント合戦するのも面白そうだ。「例えば『19時からこういう動画を配信するよ』と決めてしまい、みんなでPCの前に待っててもらって『せーの!』とコメントする。19時の部と21時の部を分けて、『コメント的には21時の部がおもしれーぞ』とか」
笑えるコンテンツだけでなく、感動できるコンテンツも上がってきてくれれば、と思っている。「笑える動画もいいが、そればかりになるのはちょっともったいないから、泣けるとか感動できるとか、感情の振れ幅を広くしたい」
「ただ、感動できるコンテンツのコメントは面白くないと思う。『感動した』と書かれても『ふーん』としか……。何かぼくが想像していないようなコメントの仕方で感動を伝えてくれる人が出てくればいいな」
みんなでテレビに突っ込みたい
近いうちに、ユーザーIDを登録できるようにし、自分が面白いと思った動画を他ユーザーに簡単に伝えられるようにする予定だ。「いくら面白い動画でも突っ込みが少ないと面白くない。『これは素材として面白いから、はやくで突っ込んでくれ』と伝えられるようにする」
携帯電話対応も検討する。「人気の動画は短いものが多いから、電車待ちとかちょっとした時間に面白がれる。携帯なら友達に見せながら一緒に盛り上がれるし、相性はいい気がする」
ただ携帯画面の画面では小さくて見づらいなどといった課題や、技術的な問題もあり、対応にはしばらく時間がかかりそうだ。
最終的には、テレビ画面に対してリアルタイムに突っ込み合える環境ができれば面白いと、個人的には考えている。2chの実況板の映像付き、といったイメージ。「例えば今NHKでアナウンサーが変なことやってる、というのをみんなに伝えて、『こりゃおもしれー!』とやれたらいい」
面白いものを伝えたい
「ニコニコ動画については、ぼくが面白いと思ってたことが、世間の人にも面白いと思ってくれたみたいで。たまにずれることもあるんですけど。例えば、フライトシミュレーターがぼくの中ですごく流行ったことがあって、フライトシミュレーター板を2ちゃんねるに作ったんだけど本当に鳴かず飛ばず。今でも使われてないですね。『あー、世間の人は興味持たないんだぁ』と」
ニワンゴのサービスは、面白いものを伝えるメディアでありたいという。「世間のニュースではまったく流れないが、すごく面白いものとか、同じものでもエンターテインメントとして見たら面白いとか、そういう視点を提供できたら」
ひろゆき氏は例として、ドラえもんを挙げる。「ドラえもんの今の新しいバージョンって、ドラえもんとして見ると面白くないが、『いかにドラえもんをいじってつまらなくしてしまったか』という視点で見ると面白いんですよ」
使って欲しいユーザーは、「面白がり」の人。ひろゆき氏もスタッフも、面白がって作っているという。
「スタッフも楽しんでいて、おのおのが勝手な機能をつけたりしています。手書き文字ややる気のないアイコンも、グラフィック担当者の独創。好評だったので、どんどん増やしてもらってます」
ニコニコ動画という名前にしたのは、2つ理由がある。
「気合の入った名前をつけたくなかったのと、動画を見てニコニコしてもらえたらいいなぁと思って」
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