Vista搭載PCの販売、予想を下回る MS「夏に向けリバウンド」
Vista搭載PCの販売がリリース当初の期待を下回っていることをマイクロソフトが認めた。店頭キャンペーンなどを通じてVistaの機能を一般ユーザーにアピールするほか、導入に慎重な企業を後押しする支援策を展開するなどして需要を刺激する。
マイクロソフトのジェイ・ジェイミソンWindows本部長は4月23日、一般販売から3カ月たつWindows Vistaの近況について説明し、同OS搭載PCの販売が当初の予想を下回っていることを認めた。PC各社が夏モデルを発売するのにあわせ、ソフトや周辺機器の互換性が高い点や、マルチメディア関連機能の豊富さを一般ユーザーにアピールする機会を増やすほか、企業の本格導入を支援する策を展開し、「夏に向かってリバウンドできる」としている。
Vistaは法人向けに昨年11月、一般向けには1月にリリース。調査会社のジーエフケーマーケティングサービスジャパンによると、PCの店頭販売台数は、1月は前年比7%減、2月は7%増、3月は3%減──という結果。単月で前年比プラスになったのは1年ぶりということもあり、同社は「VistaはPC販売に影響があった」と見ているが、需要期の3月に前年割れとなったのは、個人向けに比べ企業向けが今ひとつだったためという。
Vistaの機能をフルに活用できる「Ultimate」「Business」「Premium」──同社が呼ぶ「プレミアムエディション」の販売拡大も重要な目標。プレミアムエディション搭載PCの店頭シェアは40%以上となり、OS単体ではDSP版で90%、パッケージ版では87%となり、メーカー製PCも7割がプレミアムエディションを搭載するなど、こちらの目標は順調だ。
販売拡大では、国内PC市場の6割を占める法人市場の出遅れ対策が急務。コンシューマー向けにマルチメディア関連機能の豊富さをアピールしてきたが、こうした機能を「PCリソースの無駄遣い」として企業は敬遠している可能性もあり、従来から使っている業務アプリケーションの互換性への不安などからも、Vista導入に慎重な企業がほとんどだ(関連記事参照)。ジェイミソン本部長は「大企業が年内に16万台のVistaマシン導入を決めている」というが、昨年の国内の法人PC市場規模・約808万台(ガートナージャパン調べ)からすれば微々たる数字だ。
ただ、企業向けは2000、XPの経験から「リリース後、半年たつと伸び始める」といい、この時期に合わせてSI事業者向けコンサルティングサービスを始め、伊藤忠テクノソリューションズや大塚商会など10社らと協力してVistaの本格導入を支援。周辺機器やソフトの互換性や、プレミアムエディションならではの豊富な機能をアピールするコンシューマー向け店頭キャンペーンなどとあわせ、こうした作戦で「ローンチ時の期待値に近づけるだろう」(ジェイミソン本部長)としている。
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