ひろゆき氏、「ニコニコ」ヒットでも「動画は“来て”ない」(2/2 ページ)
「ニコニコ動画」の人気が止まらず、累計再生回数は3億回を超えた。だが「動画サイトはまだ“来て”ない」とひろゆき氏は慎重な見方だ。
「コミケで出しているうちにうまくなり、出版社から本を出したというケースがままある。出版社はコミケを敵に回して、新しい作家が入らなくなるのが嫌なだけ。大丈夫と思っていても、同人誌作者が突然捕まることもあり、バランスを取っているわけではない。人のつながりを軸にした共存関係がある」(ひろゆき氏)
その上で「ニコニコで面白い番組を作る人が、普通のテレビ番組や映画を作る、というつながりができれば、その方が日本的だろう」とした。
著作権者とビジネスの微妙な関係についても言及する。「著作権は親告罪。権利者に嫌と言われないと嫌かどうか分からない。例えばニコニコ動画で人気となり、DVD化された『陰陽師』は、権利者側がニコニコ動画上で見つけて声をかけてくれ、ビジネス化につながった」(ひろゆき氏)
「権利者側は『違法だがメリットはあるかもしれない』とも思っている。『違法だから止めろ』と言うか、ビジネスになりそうだからとそれに乗ってしまうか、という判断は権利者ができる」(ひろゆき氏)
クリエイティブ・コモンズ(CC)のライセンスを活用した2次利用を進めよう、という動きもあるが、ひろゆき氏は「日本の著作権法では、CCを完全には適用できない。CCは企業のルールとしては使えないと思う」と否定的だ。
「コンテンツを著作権フリーにした場合に企業にとってどんなメリットがあるか会議で説明できる人はいない。だから(自社の著作権を侵害した動画のアップを確認した際は)、暗黙の了解のもとで、うまくいきそうならば乗り、そうでなければ止めよう、という日本的な判断にならざるを得ない」(ひろゆき氏)
ニコニコ動画のシステム「1人が1週間で作った」
デザインも1人のデザイナーの手によるという。「リロードするたびに変わるロゴ左のアイコンは、誰も頼んでいないのにデザイナーが『適当に作ったよー』と200種類ぐらい作ってきた」といい、1個作るのに5分かかってないそうだ
クリエイターのサービス構築スピードも上がっている。「Webプログラミングは、銀行のシステムなどでない限り、1人で作った方が早い。ニコニコ動画のプロトタイプは、プログラマー1人が1週間で作った。他の人が作ったモジュールを組み合わせてプログラミングできる環境が整ってきている。ソーシャルブックマークサービスを15分で作る様子の動画も見たことがある」(ひろゆき氏)
Web動画の高画質化の可能性については、「PCのCPUの成長は止まった。ノートPCも、17、19インチなど大画面は流行していない。薄型テレビは大きくなっているが、PCの技術的進化は止まると思う」と語り、PCディスプレイが大画面化しない以上、さらなる高画質化は当面必要とされないだろう、という考えを示した。
関連記事
- ニコニコ動画にモバイル版、βテスター募集──ニワンゴ
ムービーにコメントを入れて楽しめるニワンゴの「ニコニコ動画(γ)」。モバイル版の開発に伴い、βテスターを募集する。 - YouTubeへの“輸出”も――ひろゆき氏が語る「ニコニコ動画」の今
「ニコニコ動画」がクローズドサービスにも関わらず大人気だ。ニコニコで生まれたコンテンツがYouTubeに“輸出”されたり、「動画アンケート」「動画雑談」が行われたりと新しい文化も生まれている。運営は「赤字垂れ流し」だが、ビジネスの芽も見え始めた。( - 「面白くないものが面白くなる」 ひろゆき氏が語る「ニコニコ動画」の価値
ひろゆき氏が監修した、動画にコメントが付けられるサービス「ニコニコ動画」が人気だ。1日あたりのPVは約400万。普通の動画でも、コメントが付くだけで爆笑コンテンツに変身する。「面白くないものを面白くする」を売りに、ビジネス展開をもくろむ。 - ひろゆき氏関連記事一覧
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.