「iPhoneはユーザーに対する裏切り」とFree Software Foundation
FSFとその支持者らによると、iPhoneはプロプライエタリソフトウェアとデジタル著作権制限で身動きがとれない製品だという。
Free Software Foundation(FSF)とその支持者らによると、iPhoneはプロプライエタリソフトウェアとデジタル著作権制限で身動きがとれない製品だという。
奇しくも、iPhoneとFSFのGNU GPL(General Public License)バージョン3の最終版はいずれも、6月29日にリリースされることになった(関連記事)。
しかし技術オタクの思想的観点から見れば、両者のデビューはこの上もなくかけ離れたものであるようだ。iPhoneは、音楽プレーヤー、電話、電子メール、Webサーフィンの機能をAppleが独自の方法で組み合わせたデバイスであり、ハードウェアのみの価格は500ドルから。熱狂的なコンシューマーたちは、われ先にiPhoneを手に入れようと、早くからショップの前に行列を作った(関連記事)。
一方、GPLv3は、現行ライセンスであるGPLv2に対して16年ぶりのアップグレードとなるもの。GPLは、フリー/オープンソースソフトウェアで主流となっているライセンス方式である。
また、iPhoneがリリースされる前の数カ月間、その外見や機能、技術、価格が秘密のベールに覆われてきたのに対し、GPLv3は約1年半に及ぶ一般公開と人々からのコメントの結果である――少なくともFSFはそう考えている。
ボストンに本部を置くFSFの執行ディレクター、ピーター・ブラウン氏は、iPhoneにはGPLの下でライセンスされたフリーソフトウェアが含まれると予想している。「スティーブ・ジョブズ氏とAppleが6月29日にリリースするのは、プロプライエタリソフトウェアとデジタル著作権制限で身動きのとれない製品だ。なぜなら、所有者がコントロールできないデバイスは所有者の利害に反するからだ」と同氏は語る。
「AppleがGPLでライセンスされた技術を利用して、自社のOSであるOS X、自社のブラウザであるSafariを開発したのをわれわれは知っている。iPhoneではGPLが適用されるソフトウェアがどのくらい使用されるのか興味深いところだ」(同氏)
ブラウン氏によると、GPLのバージョン3は、フリーソフトウェアから自由を奪おうとする最近の動き、ならびに「Tivo化」攻撃に対抗するものであり、これはAppleとiPhoneにとって問題となる可能性があるという。Tivoは、フリーソフトウェアを利用して開発されたデバイスだが、ユーザーがソフトウェアに変更を加えることができないような技術的対策が施されている。
FSFとその支持者らがAppleをターゲットにしたのは今回が初めてではない。FSFが推進するキャンペーンであるDefectiveByDesign.orgのメンバーらは昨年10月、ニューヨークとロンドンにあるAppleのフラッグシップストアに押しかけ、同社がDRM(デジタル著作権管理)技術を採用していることに抗議した。
FSFの広報担当者、ジョッシュ・ゲイ氏は米eWEEKの取材に応じ、iPhoneではどんなオープンソースソフトウェアが使われている可能性があるかとの質問に対し、FSFではiPhoneでどんなソフトウェアが使われているかをまだ把握していないとしながらも、「AppleがiPhoneのソフトウェアをアップグレードすることができ、ユーザーはできないというのが本当であれば、GPLv3の下でライセンスされたソフトウェアをiPhone上で配布することは同ライセンスの違反になるだろうと」付け加えた。
「しかし、たとえiPhoneがGPLに違反しなくとも、われわれはユーザーが宣伝文句に乗せられて、自分自身でコントロールできないデバイス――デジタル著作権管理のような悪質な機能によってユーザーを裏切るコンピューティングスキームを盛り込んだデバイスを買わされるのではないかと心配している」と同氏は話す。
GPLv3のドラフト作成プロセスでも、障害や論争がなかったわけではない。事実、Linuxの父であるリーナス・トーバルズ氏は、「最終ドラフトは初期のものよりも良くなっていると思うが、GPLv3の下でライセンスすべき現実的理由が見当たらない」と述べている。
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