総務省や文科省もWikipediaを編集していた 「WikiScanner」日本語版で判明
省庁の内部からもWikipediaを編集――総務省や文部科学省、宮内庁などのIPアドレスから、行政に関わる内容からエンターテインメント関連までさまざまな項目が編集されていたことが、「WikiScanner」日本語版を使った調査で分かった。
Wikipediaを編集した組織や企業が分かるツール「WikiScanner」の日本語版がこのほど登場した。これを利用して行政機関からの編集について調べてみると、総務省や文部科学省、宮内庁などから、行政に関わる内容からエンターテインメント関連まで、さまざまな内容について編集があったことが判明。行政に批判的な内容を削除する編集も見つかった。
WikiScannerは、IPアドレスを入力すれば、そのIPから編集された内容を一覧表示できるツール。IPアドレスと組織名を対応させる仕組みも備えており、特定の組織が編集した記事や内容を確認できる。英語版はすでに公開されていたが、今回新たに、日本のWikipedia内を検索できる日本語版が登場した。
省庁のIPアドレスで調べてみると多くの編集が見つかる。例えば総務省からは、「電子投票」の項目が10回以上編集され、電子投票のセキュリティーに関する内容が書き換えられているほか、「水曜どうでしょうの企画」を詳細に説明する書き込みや、シミュレーションゲーム「蒼き狼と白き牝鹿」に関する書き込みもあった。
文科省のIPからは、本間正明・元政府税制調査会会長に関するスキャンダルが削除されていたり、「コミュニティ・スクール」の項目で、文科省自身が作成したWebサイトについて「かなり充実している」と自画自賛も。
厚生労働省からは「薬物」などの項目で編集があったほか、アダルトゲーム「ななついろ★ドロップス」の項目で解説も書き加えられていた。宮内庁は、天皇陵や歴史関連の書き込みを編集しており、宮内庁に関連する疑惑の指摘を削除した跡も見つかった。農林水産省からは、ガンダム関連で大量の書き込みがあった。
WikiScanner日本語版トップページには、ソニー、ライブドア、東京大学などからの書き込みをワンクリックで確認できるリンクを掲載しているほか、プルダウンメニューには、ローマ字表記で企業・団体名一覧を表示。さまざまな企業や団体の内部から、いつ、どのような書き込みがあったかを確認できる。
ちなみにWikipediaはガイドラインで「自分のことについては他の利用者に執筆を任せるのが望ましい」としており、ユーザー自身が関わる記事についての編集を避けるよう呼びかけている。
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