オフィスはSkype 「ギリギリ狙う」5人のベンチャー「ロケ☆スタ」(2/2 ページ)
オフィスはあるけど誰も来ない。Skypeで話した方が便利だから――26歳社長が率いるベンチャーが“ロケットスタート”を切った。普通の会社では作れない「ギリギリ」のサービスを作りたいという。
リアルよりSkypeのほうがいい
コミュニケーションはSkypeが一番。リアルの会話よりも便利といい、実際に会って話しながらSkypeでチャットもする――という“ハイブリッドな”コミュニケーションもしているという。「リアルの会話は、履歴を検索できないのが不便で」(古川さん)。Skypeならグループチャットの履歴が蓄積されていくから、オフラインのメンバーも後から履歴を確認できる。
「リアルの会話にコードは貼れないから」(村上さん)――Skypeで「このコードで何で動かないんだろう」と見せ合ったり、URLやファイルをやりとりしながら、サービスを共同構築していく。
「それでも対面で会った方がいいと思って」、古川さんは1週間に1日、みんなでオフィスに集まる日を決めた。だが「みんな来ない。鍵を持ってる(矢野)さとるくんが来るまで、オフィス前の道ばたで、1人PCかかえて待ってたりとか……」
「ギリギリ」のことをやらないと、新しいものは生まれない
ロケ☆スタのサービス第1弾は、矢野さんが開発し、古川さんがロゴをデザインした「yadio.jp」(ヤジオ)。ネット上に公開されたMP3ファイルを聞きながら、任意のタイミングでコメントを付けられるサービスだ。いわば「ニコニコ動画」の動画なし版で、MP3のURLを指定するだけで利用できる手軽さが売り。「まだあまり聴かれていないポッドキャストを、ブレイクさせるきっかけになれるのでは」(水波さん)
矢野さんが開発した、YouTube動画に落書きできるサービス「落書き.in」など、メンバーが個人で構築してきたサービスも順次ロケ☆スタのメニューに加え、さらに発展させていく計画だ。
「普通の会社にはできない、ギリギリのことをやっていきたい」――古川さんは気負いなく言う。想定するのはYouTubeやニコニコ動画。著作権に絡む問題が浮上するなど「ギリギリ」のサービスだったが大ブレイクし、ネットの世界をガラリと変えた。「ギリギリのことをやらないと、新しいものは生まれないから」(古川さん)
具体的なビジネスプランはまだないが、5人ともネットビジネスの経験は豊富。「現実的なラインで、1人年間1000万円、5人で5000万円ぐらいは稼げるのでは」(水波さん)と読む。海外進出も視野に入れ、英語版サービスも日本語と同じペースで構築していく。
会社としての目標は、特に設定していないという。「『Yahoo!JAPANを追い抜けるようなサービスを作りたい』という話はするが、『いつか○○したい』という遠い将来の話はあまりしない。今やりたい→今つくろう→今リリース!という感じ」(古川さん)
当面の目標は「社員がフルコミットしても食べていけるぐらい稼ぐ」(古川さん)こと。今は5人とも別に本業を持っているが、2人くらいは本業を辞めてロケ☆スタに専念できるよう、面白いサービスを作りながら、ある程度の利益を出していきたいという。
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