世界最大・A3フルカラー電子ペーパーをブリヂストンが開発 世界最薄フレキシブルも
ブリヂストン独自の「電子粉流体」を使った電子ペーパーとして、世界最大となるA3フルカラータイプと、世界最薄フレキシブルフルカラータイプを開発。広告や電子棚札など、電子ペーパーの用途拡大を期待する。
ブリヂストンは10月19日、現時点では世界最大となるA3サイズのフルカラー電子ペーパーを開発したと発表した。独自の「電子粉流体」を使う方式で、カラーフィルターや駆動方法などを開発することで従来のA4サイズから大型化。広告などへの用途拡大が期待できるとしている。同時に、世界最薄となるフレキシブルフルカラー電子ペーパーも発表した。
同社は2002年3月、粉なのに液体のように流動性が高い「電子粉流体」の開発を発表。04年10月には、電子粉流体を活用した電子ペーパーも開発した。
電子粉流体を画素内に入れ、プラス・マイナスを切り替えることで表示の切り替え・オンオフを制御するシンプルな仕組みで、電子粉流体の帯電性が高いため、電源を切っても表示がそのまま変わらないメモリー性も備える。
パネル内に液体が含まれない分、反応速度が液晶の100倍近い0.2ミリ秒と高速なのも特徴で、「QR-LPD」(Quick Response-Liquid Powder Display)と名付けた。粉流体を顔料で着色することでカラー化することも可能だ。構造がシンプルなため、TFT液晶などと比べ部材や生産工程を少なくでき、将来は液晶以下のコストで生産できると見ている。
A3サイズ電子ペーパーは、表示エリアが435×326ミリ。4096色の表示が可能で。解像度は75dpi。ガラス基板を使っており、パネルの厚さは1.45ミリ。
既にA4サイズは実現しており、昨年12月に山手線内で実施した広告実証実験には同社のカラー電子ペーパーが使われた。電子ペーパーは液晶のバックライトのような発光素子を持たず、普通の紙と同様に反射光で見るため、明るさが課題。A3タイプでは新たに開発した独自のドライバと駆動方式を搭載し、「山手線で使われたものよりはるかに明るくなっている」という。また電子ペーパー専用のカラーフィルター(RGBW)も開発し、色再現性を向上させた。
折り曲げ可能なフレキシブルタイプでは、昨年、着色した粒子を使って2色表示に対応させたタイプを発表した。今回開発したのは、厚さ0.29ミリの8インチフルカラータイプ。反射型単純マトリクス式のフレキシブルフルカラータイプとしては世界最薄という。表示エリアは162×121ミリ、4096色表示が可能。解像度は30dpi程度としている。
曲げても大丈夫な特徴をいかし、ロール状にして連続生産する技術の開発を進めている。連続生産が可能になればコストダウンにもつなげられ、商品棚札やPOPなどに広く使ってもらう道が開けるとみている。商品化は09〜10年ごろを見込んでいる。
新開発した電子ペーパーは、24〜26日に開かれる「FPD International 2007」(パシフィコ横浜)に出展する。
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