ニュース
EFF、オンラインビデオによる表現の自由を守るガイドラインを提案
YouTubeなどに投稿されたビデオが公正使用の範囲であっても著作権侵害作品として削除される傾向を懸念し、EFFが表現の自由を保護するガイドラインを提案した。
電子フロンティア財団(EFF)は10月31日、大学など公共利益団体と協力し、オンラインビデオに関し、著作権を保護しつつ表現の自由を維持するための、6つのガイドラインからなる「Fair Use Principles」を発表した。
Fair Use(公正使用)とは、著作権のある作品に関して、公正な目的があれば、その作品を許可なく利用することを認めるという概念。EFFによると、公正使用は誤解されるケースが多いという。YouTubeなどのビデオ共有サイトに投稿された公正使用の範囲内の作品が、コンテンツの著作権保有者からの要請で削除されることがあるが、これが表現の自由の侵害にあたる場合があるとしている。ビデオ共有サイトが導入しようとしている自動コンテンツフィルターは、こうした作品を今後も削除する可能性が高いとして、サービスプロバイダーと著作権保有者に対し、公正使用を守るためのガイドラインを提示した。
EFFが提示するガイドラインは次の通り。
- 批評や報道目的、パロディー作品など、公正使用は幅広いという認識の下、著作権保有者は安易な法的警告を控える
- フィルタリングを行う(自動削除を避けるか十分な検証が可能なフィルターを設置する、フィルターより人間の意見を重視する、など)
- 米デジタルミレニアム著作権法(DMCA)のノーティス・アンド・テークダウン手続き(著作権侵害に当たらない場合の保護手続きを含む)なしに削除を行わない
- DMCAの手続きに従うものであることを当該ユーザーに通知してから削除する
- サービスプロバイダーは、著作権侵害の通知先ユーザーからの反論を受け付ける窓口を設ける
- 著作権侵害によるコンテンツ削除の訴えが撤回された場合のコンテンツ復帰プロセスの確立
関連記事
- 「ニコ動」、アマチュアバンド映像誤削除で謝罪
ニワンゴは、「ニコニコ動画」専用動画共有サービスにアップロードされたアマチュアバンドのライブ映像を誤って削除したとし、開発者ブログで謝罪した。 - ユーザー生成コンテンツの著作権ガイドライン策定、Googleは不参加
Microsoft、MySpace、Disneyなどが、ユーザー生成コンテンツ(UGC)サービスと著作権保有者のための著作権ガイドラインを策定した。YouTubeとGoogleは参加していない。 - 違法音楽ファイル交換で大学生を提訴するRIAAをEFFが批判
全米レコード協会(RIAA)が、違法音楽ファイル交換で大学生を次々に提訴している件について、電子フロンティア財団(EFF)はもはや何の効果もないと批判している。 - プリンスの曲で踊る幼児のビデオ、著作権違反で削除――EFFが提訴
YouTubeにアップされた幼児のビデオを、Universalが著作権違反で削除させた件について、電子フロンティア財団が「言論の自由」の侵害だとして提訴した。 - EFF、パロディビデオめぐるViacomへの訴訟を取り下げ
Viacomは目視レビューなど誤った削除要求を防ぐための対策を取る方針を打ち出し、同社コンテンツの公正使用に異議を唱えないことを明確にした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.