米IBMは11月15日、クラウドコンピューティングを実現する「Blue Cloud」計画を発表した。同社は環境を構築するためのツール、サービスなどを提供していく。クラウドコンピューティングとは、インターネット上でリンクされたクラスタシステムによる共用インフラストラクチャで、アプリケーションサービスなどの提供に利用する。
Blue Cloudは、オープンな業界規格とオープンソースソフトウェアを基盤とする。同社は既に、複数の企業、大学、政府機関とクラウドコンピューティングで協力関係にある。
Blue Cloud開発の目的は、ユーザーがSOA(サービス指向アーキテクチャ)ベースのWebサービスを使って、クラウドアプリケーションを既存のITインフラに統合できるようにするなど、クラウドコンピューティングを十分に活用できるようにすることだという。企業のデータセンターをインターネットのように世界中から分散型でアクセス可能な環境として運用できるようになるため、企業は、構築した社内クラウドコンピューティング環境内でWeb2.0型アプリケーションを手早く制作するといったことが可能になり、最終的には、このことが企業のITインフラコストの大幅削減を実現するだろうとIBMは説明している。
最初のBlue Cloudは2008年春に提供開始予定で、Powerプロセッサおよびx86プロセッサ搭載システムをサポートする。また同じく2008年内に、System z「メインフレーム」クラウド環境を用意する。これはSystem zが対応している大量の仮想マシンを利用したものになる。ラッククラスタを基盤とするクラウド環境も発表する計画だ。
IBMのアルマデン研究所のクラウドインフラをベースとするBlue Cloudは、XenやPowerVMで仮想化されたLinux環境と、Hadoopオープンソースプロジェクトの負荷分散処理技術を採用。サーバ管理をTivoliソフトで行い、最適なパフォーマンスを実現できるようにする。
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