ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の場合、規模が大きくなれば良いサイトになるというわけではない。より良いSNSになる上で重要なのは「質」だ。オンライン連絡先管理サービスの米Plaxoは、自社のSNSサービス「Pulse」にはそうした「質」が備わっていると考えており、今後それを生かしていきたい考えだ。
SNSサイトに関しては、「メトカーフの法則」を忘れる必要がある。これは、「通信ネットワークの価値は、参加しているユーザーの数に比例して高まる」ということを述べた法則。つまり、電話を使う人が多ければ多いほど、その電話網の価値も高まるというわけだ。
「SNSサイトの意義は社会的人間関係にあり、SNSサイトの価値はそのネットワーク内でほかの人たちと連絡を取ったり、つながりを保ったりする上での使い勝手の良さによって決まってくる」と米調査会社Gilbane Groupのアナリスト、ジェフ・ボック氏は語っている。同氏がeWEEKの取材に応じて語ったところによると、例えば、同氏にとっては、PlaxoやLinkedInなどのサイトが何百万人ものユーザーを擁しているという事実よりも、そうしたネットワークで仕事上の知り合いと連絡を取ったり、つながりを持てることの方がよほど重要だという。
PlaxoのPulseネットワークにとって、質の高さは移植性とイコールだ。Facebookでは何百万人ものユーザーが知り合いと連絡を取ることができ、LinkedInではプロフェッショナルな職業の人たちが互いに連絡を取り合ったり、コラボレーションしたりできるようになっているが、Pulseが目指しているのは、そうしたサービスの利便性の質を高めることだ。
PulseはPlaxoのアドレス帳管理サービスをベースとしている。このサービスでは、ほとんどどんなメールアカウントからでも連絡先データをインポートでき、ユーザーはDiggやFlickr、del.ici.ousをはじめとする幾つかのソーシャルネットワークからのコンテンツを共有できるようになっている。
PulseはソーシャルなRSSフィードと考えられるだろう。Pulseを使えば、ユーザーはソーシャルネットワーク間をいちいち移動しなくても、個々のネットワークに参加することなく、複数のネットワークのコンテンツを共有できる。
Plaxoのマーケティング担当副社長ジョン・マクリア氏によると、同氏はPulseを介して、ブログとTwitterのコンテンツを同僚と共有し、YouTubeの動画を友人と共有し、一部の写真を家族と共有しているという。
「重要なのは、共有の量よりも、その共有情報の質と妥当性だ。自分の知り合いや自分が気に掛けている人たちが興味を抱いているものであれば、それはあなたにとっても、基本的には興味をそそられるものであるはずだ」とマクリア氏は説明している。
実際のところ、SNSサイトには「大きい方がより良い」というメトカーフの法則が当てはまらないどころか、大きい方がときとして問題につながる可能性も高い。「大きなコミュニティーは規模があまりに大きくなり過ぎた時点で問題を実感することになるだろう」と米調査会社Burton Groupのアナリスト、マイク・ゴッタ氏は指摘している。
同氏によると、あまりに人が増え、投稿や会話の数が多くなり過ぎると、SNSサイトは厄介で扱いづらいものになりがちだという。つまり、ソーシャルなWebの王国にとっては質が鍵になるということだ。
「ただ規模が大きくなるだけでは、サイトは輝きを失う。ただし、ユーザーの多さをプラスに活用できる方法を見つけ出し、そうしたユーザーをもっと価値ある存在へと高められるようであれば、そのSNSは成長への道をたどれるはずだ」とGilbane Groupのボック氏は語った。
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