AMD経営陣は、同社が軌道に乗ったということを顧客に納得させたい意向だが、同社が業界の信頼を取り戻すためには新年もイノベーションを続ける必要があるばかりか、2008年を通じてほぼ完ぺきな対応を示す必要があるとして、懐疑的な見方を示すアナリストもいる。
「これは非常に複雑なプロセッサであり、Intelの現在のクアッドコアよりもはるかに複雑だ。わたしはAMDの言うことを信じるし、同社はBarcelonaをもっと早く出したいと思っていたはずだ」。こう話すのは、米調査会社Technology Business Researchのアナリスト、ジョン・スプーナー氏。「今回の場合、AMDは野心的になり過ぎたようだ。それが一因となって、AMDはIntelと競争する上で大きなリスクを背負う羽目になった」
AMDの市場シェアは過去数年に比べて拡大している。米調査会社IDCの2007年第3四半期の統計によると、世界市場におけるAMDのシェアは約23%となっている。このため同社の失敗は以前よりも目立つようになり、パートナー各社やIT業界に向け、より現実的な製品のロードマップとスケジュールを示す必要に迫られている。
「大胆さと慎重さのバランスをとる必要がある」とスプーナー氏。
Barcelonaの問題は、AMDが12月初旬に設計上のバグを発見したことでさらに悪化した。このバグ自体はTLB(Translation Lookaside Buffer)の一部にあり、2次キャッシュから3次キャッシュに伝送されるデータに問題が生じる(3次キャッシュはBarcelonaで新たに盛り込まれた)。これが原因でOSが誤作動を起こし、ハードウェアがダウンしてしまう。AMDはBIOSをフィックスし、新プロセッサを製造する時にはこの問題を解消すると約束した。
AMDは約束通り、2008年にクロックスピードを少なくとも2.5GHzに引き上げるとデムスキ氏は話す。さらに45ナノメートル版Opteron「Shanghai」の計画も進め、2008年第1四半期に製造を開始して、2008年後半には製品を登場させる計画だ。
Insight64のアナリスト、ネイサン・ブルックウッド氏は、過去8カ月の実績だけで、特に2001年から2006年にかけてのOpteronの成功と比べてAMDについて判断するのは公平ではないとしながらも、AMDはもっと現実的なロードマップを提示し、テクノロジーに対するコミットメントを後押しする必要があると指摘した。
最も難しいのはAMDの革新性と、業界に対するより保守的なアプローチとのバランスを取ることになりそうだ。
「AMDは過去5年間で多大な信頼を積み重ねてきた。その多くが過去8カ月で台無しになってしまったのは悲しいことだ。その埋め合わせをする1つの方法は、現実的な約束をすることであり、AMDはその約束を守る必要がある」とブルックウッド氏は述べている。
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