厚さ2センチ・シャープ次世代液晶テレビは08年度発売へ
シャープの片山社長は年頭会見で、薄型・省電力などの特徴を持つ次世代液晶テレビを「2008年度中に発売したい」と話した。スピーカー部の高音質化ではパイオニアとコラボレーションを進めているという。
シャープの片山幹雄社長は1月8日に都内で開いた年頭会見で、厚さ2センチなどの特徴を持つ次世代液晶テレビを「2008年度中には発売したい」と話した。具体的な時期は明言しなかったが、従来パネルを上回る省電力性などの高付加価値で「新しいAQUOSブランドを作っていける」と自信をみせた。
米国で開催中の「International CES」で披露した65V型の次世代液晶を会見場でも披露。昨年公開した52V型と同様、解像度はフルHDでコントラスト比は10万:1。厚さはディスプレイ部が20ミリ・最厚部で35ミリという。年間消費電力量は200キロワット時。片山社長は「薄さだけではなく、従来製品の半分程度の消費電力や高いコントラスト比なども特徴だ」と説明する。
片山社長によると、製品化に当たっては「チューナーを入れない案もあるが、できれば入れたい」という。画質に見合ったスピーカーが悩ましい部分で、「この薄さでいい音を出すのは難しい」。このため、昨年資本・業務提携したパイオニアとコラボレーションで音質の向上を進めているという。
AQUOSは「数量にこだわらず」
創業100年を迎える12年に向け、片山社長は(1)「世界No.1の液晶ディスプレイで真のユビキタス社会を実現する」、(2)「省エネ・創エネ機器を核とした環境・健康事業で世界に貢献する」──の2つの経営ビジョンを掲げる。
液晶テレビの世界需要は07年度、同社の当初予想より200万台上ぶれして7400万台になる見通し。08年度は30%増の9600万台と予測し、これはテレビ市場全体の約45%を占める。
大阪・堺で昨年着工した新工場に加え、年末に予定していた三重・亀山の第2工場の増産計画も前倒し。今年7月には第8世代ガラス基板の投入能力を、従来の1.5倍となる9万枚/月に引き上げる。東芝と液晶パネル供給の拡大で提携しており、亀山第2の増産で「外販に本格的に対応できる」(片山社長)としている。
07年度の液晶テレビ販売目標・900万台の達成は「今のところそれなりの数字」だが、08年度は目標台数を公表しない方針。片山社長は「いたずらに販売台数を求めることがシャープのブランド価値向上になるのか」として、公開した次世代テレビのような高付加価値製品で単価下落を食い止め、ブランド価値を向上させていく基本戦略をとる。ただ、「これはコミットメントではないが、1000万台はいきたい」とも話した。特に北京五輪が開かれる中国市場を重点的に攻略する。
CO2削減問題がクローズアップされつつある中、得意の太陽電池も推進。堺の新工場には太陽電池工場も10年3月までの稼働を目指して新設し、年間1000メガワット規模の生産を計画している。
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