大型有機ELや「音楽×スポーツ」で「多様なニーズに対応」 au春モデル
auの春モデルは「多様なライフスタイルに対応する」とし、映像・音楽・カメラ機能などをそれぞれ強化した“専門端末”をラインアップした。ただ画期的な新サービスなどはなく、純増1位を走っていたころのアグレッシブさは見えない。
KDDIは1月28日、auブランドの携帯電話春モデル10機種を発表した。「多様化した利用シーンに合った端末を用意した」という。
動画を高画質に見たいなら、3インチQVGA(240×432ピクセル)表示の有機ELディスプレイを搭載した「W61SA」を、カメラを重視するなら「Cyber-shotケータイ W61S」を、ジョギングしながら音楽を楽しみたいなら「W61T」を――など、端末ごとに異なるターゲットを想定する。
3インチQVGA表示対応の有機EL搭載端末は世界初。パネルに電子ペーパーを搭載した端末(W61H)も国内で初めてラインアップする。遅れていた「KCP+」搭載冬モデルの発売日も発表した。
ただ、目玉と言える画期的な新サービスはなく「au design project」による斬新なデザインの端末もない。純増1位をキープしていたころのアグレッシブさは、今回の端末ラインアップからは見えてこない。
「端末やコンテンツ、料金体系などで総合的に満足していただけるよう努力したい」――同社の小野寺正社長はこう話す。コンテンツ面では、映画をフル視聴できる映像サービス「LISMO Video」を近く発表するほか、PCサイトと連動した「au Smart Sports」を発表。料金面では、ソフトバンクの「ホワイト学割」に対抗し、学生向けの割り引きキャンペーンを展開する。
映像・音楽・スポーツ 多様なニーズに対応
「携帯電話は多様化する時代」――同社の高橋誠・コンシューマ事業統轄本部長は、個人の多様なライフスタイルに合うよう端末をそろえたと話す。
3インチ有機ELディスプレイを搭載したW61SAは、携帯で高画質に動画再生を楽しみたいという人向け。今春発表予定の「LISMO Video」では、30フレーム/秒の高画質映像を配信予定で、2時間映画などを丸ごと見られるという。
同社が強みとしてきた音楽再生機能では、日本ビクターの高音質化技術「netK2」を「W61T」など3機種に搭載したほか、Bluetoothヘッドフォンでワイヤレスに音楽を楽しむスタイルを「ワイヤレス音楽」として改めて打ち出し、対応機器とともに訴求していく。
スポーツ関連のPC連動サービス「au Smart Sports」も発表した。「スポーツを通じた自分磨き」がテーマ。専用アプリ「Run&Walk」や連動したPCサイトで、ウォーキングコースや消費カロリーなどを確認・記録できるほか、音楽サイトと連動し、ランニングやウォーキングに合った楽曲プレイリストを紹介する。ECサイトでは、ジョギングに最適なワイヤレスヘッドフォンや携帯電話用ポーチを販売する。「今年はオリンピックイヤー。健康への関心も高まるだろう」(高橋本部長)
3機種あるKCP+端末では、待ち受け画面を使った向けネットサービス「au one ガジェット」で、好みに合ったトップページを作成できる。「音楽、映像、メールなど、携帯電話のどのサービスを中心に使うかは個人によって異なる。1つのポータルにこだわる時代ではない」(高橋本部長)
デザイン面では、パネルが光る端末を多数ラインアップしたほか、国内で初めて電子ペーパーディスプレイを採用し、パネルデザインが95通りに変化する「W61H」をラインアップした。
同社として初めて、GSMに対応した国際ローミング端末(W62S)も発表。「ドコモに先行されて唯一頭を抱えていた問題が解決した」(高橋本部長)
新サービスとして、CDジャケットなどをカメラで撮影すると、関連情報を検索できる新サービス「カメラでケンサク!ERサーチ」も発表した。
「auの庭で。」――CMには嵐を起用
CMも一新する。「ケータイキャリアから、さまざまなコンシューマーサービスを提供するキャリアに変わる」(高橋本部長)とし、端末や携帯コンテンツ、料金、ショッピングサービス、ADSLやFTTHまで含めたプラットフォームを「auの庭」と名付けた。新CMは「auの庭で。」がコンセプト。従来からのCMキャラクター・仲間由紀恵さんに加え、嵐を起用した。
ソフトバンクの「ホワイト学割」の対抗策としては、22歳以下の新規契約者への1万円キャッシュバックなどを盛り込んだキャンペーンも実施。「若年層向けの料金戦略は、キャンペーンで対応する」(小野寺社長)
また、冬モデルの目玉商品だったが発売が延期されていた、KCP+搭載の3機種については、2月1日から順次発売すると発表した。
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