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米国から京都へ はてな近藤社長の真意は(2/2 ページ)

はてな近藤社長が、予定よりずいぶん早く、米国から戻ってきた。創業の地・京都に移り、世界に通じるサービスを作りたいという。Wiiを世界に送り出した、任天堂のように。

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はてな社内ではご飯の炊き出しも

 開発陣は全員京都に渡る。CTOの伊藤直也さんも、2月18日に入社したばかりの、元ライブドアのmalaさん(「livedoor Reader」「Fastladder」開発者)も、京都に移り住む。開発陣を1点に集め、物作りの拠点にする。

 御池通りと烏丸通りが交差する、京都の中心部・烏丸御池に新オフィスを構える。場所だけは、ずっと前から決めていた。御池通りの道の広さが好きだから。烏丸通り沿いなら、新幹線が止まるJR京都駅から地下鉄1本でアクセス可能。東京と行き来するにも便利だ。

 広さは80坪ほどと、今のオフィスの倍だ。「東京よりも賃料の安い場所に移るのに、同じ狭さじゃ意味がない。オフィスをいっぱいにするぐらい、成長していきたい」

 京都に移る社員は、全21人のうち13人ほどだ。現地で採用を進め、今後2年で30〜40人に増員していきたいという。学生や留学生の多い京都。若い人材を幅広く採用しつつさまざまな人と交流し、「こもらないようにしたい」という。

京都から、生活の基盤となるようなサービスを

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社長夫人・令子さんは、米国で子どもを授かった。妊娠5カ月だ

 京都で「普通の日本人の生活」をしながら、生活になくてはならないサービスを模索してきたい。思いつきをただ形にするだけでは「毎年アーティストが新作アルバムを出す、みたいになってしまう」から。長く使ってもらえる生活基盤を、作り出していきたいという。

 「ネットサービスはもしかしたら、『そんなところまで求めていない』という段階まで入り込んでしまっているのかもしれない」――ネットの進化の停滞のようなものを、最近感じている。ブログ、SNSに次ぐキラーなテキストサービスは、まだ登場していない。

 はてなは今年、1〜2種類の新サービスを投入する計画。同時に、既存サービスも充実させていく。例えばはてなダイアリー。地道にユーザーインタフェースを改善した結果、ユーザーが増えてきたという。インフラ周りを担当していたCTOの伊藤さんも開発に戻り、彼が作った「はてなブックマーク」も進化する予定だ。

任天堂のようになりたい

 世界に通用するメーカーは東京以外に多い。京都には、京セラや島津製作所、オムロン、日本電産、任天堂など名だたる企業がある。

 「アメリカから見て、任天堂は輝いていた」と近藤社長は言う。光源は「Wii」だ。「Wiiをプレイする米国人のはしゃぎっぷりったら、なかった。Wiiは普遍的な何かを、変化させたと思う」

 ゲームがどんどん難しくなり、近藤社長もゲームから離れていたという。「『Wii Sports』が僕に『ゲーム、もう1回やってみなよ』と問いかけてくれた。僕たちのことも考えてくれてたんだって、うれしくなった」

 日本の京都の任天堂が、世界中をはしゃがせた。そんなふうな何かを、はてなも作っていきたい。

インターネットだから、東京じゃない場所で

 米国シリコンバレーを生んだのは、西海岸のヒッピー的な精神。東海岸の「中央」「大勢」に対する、一種のカウンターカルチャーだ。「日本の中心・東京」と「カウンター文化としてのインターネット」は、どこか矛盾している気もする。

 「東京で、既存のメディアと仲良くしながらべったりやるのは、何か違う。ネットの進化のモチべーションの源は、個人の力を最大化するところにあったと思う。ネットを使えば、どこにいても個人が自分の力で表現でき、世の中に物を言える、という」

 東京から離れ、大勢から距離を置いた京都。ネットの力を信じる人が集まり、ここが日本のシリコンバレーのようになれば面白い。

 はてなが1つの求心力に、なれればいいと思う。

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